真木千秋氏のタッサーシルクの織物と出会って既に12〜13年なると思います。どちらで買ったものか覚えていないのですが、タッサーシルクのジャガード織の敷物を手に入れたのが始まりです。

それから、彼女の作品に興味をもち続け、進化なさってゆく織りに魅せられていきました。
2001年10月、「真木千秋 手織布展」として花染の2階で展示会をしていただきました。階段を上るスペースから2階いっぱいに真木ワールドとして展開された作品は、ストール、敷物、ベッドカバー、袋物、洋服(ベスト、パンツ、スカート、ブラウスなど)と。

彼女の人気は国内外含めてカリスマ的存在でした。彼女のお人柄、仕事の魅力に集まる物作りの人々も才能豊かで多彩でした。

2006年まで青山にあった真木テキスタイルスタジオの店舗デザインをなさった中村好文氏、看板を作った三谷龍二氏、織と布の石垣昭子さん、真砂三千代さん、焼き物の黒田泰三氏等です。

それからすさまじく月日が流れました。この空白の7年間にはいろいろなことがありました。真木さんから届くいろいろの展示会の案内状にはいつも一筆添えてくださっていました。温かいお気持ちを感じれば感じるほど、中途半端な仕事ではお伺いできないと、尚更引きこもってしまいました。

いろいろ布・織・洋服の展示会も、その間、幾度か致しましたが、私の体質としっくり馴染むのは、やはり真木さんの作品しかないことも痛いほどわかっていました。

全ての想いを乗り越えて、今度の関東の旅は企画しました。

「真木千秋さんのスタジオへ行こう!」その想いに踏ん切りがつきました。

かくして4月25日(土)大雨の中、あきるの市の真木テキスタイルスタジオに到着です。入口の「糸糸糸」の看板を入り、竹林を抜けると、欅の大木が天をつく高さで私たちを迎えてくれました。

築200年という建物のスタジオは、使えるものはすべて使用し、不具合な部分だけに手を入れたそうです。古い建具にも皆様の愛情がこもり、研ぎ込まれて優しさをましていました。自然もあるがままの姿で、全て共存していました。こんな安らぐ空間をお作りになられたスタッフの方々や大工さんは、自然ということや豊かさを本当によくご存知なのだと……。
真木千秋テキスタイルスタジオ 東京・あきるの市

その目の前の少し高い位置に、新しく建てた「竹林の店」がありました。緑の生い繁る、栗の木が自生しているような自然をさりげなく店に引き入れた、そして風が通る素敵な建物です。
600坪とお聞きした全ての空間が静かに雨に濡れて、優しく呼吸をしていました。
真木千秋さんのお姿が何よりもその場所を魅力的に豊かに彩っていました。