西域工芸品

■アフリカ・中近東(イラン・アフガニスタン・パキスタン)・インド・インドネシア・タイ・フィリピン

キリムは西アジアのトルコ・イラン・アフガニスタンなどで暮らす遊牧民族のものです。平織の毛織物で原糸の多くは羊毛ですが、山羊やラクダの毛も使われます。織り出される模様や色にも各部族の信仰や習慣が色濃く反映しています。
キリムは敷物ばかりでなく、間仕切りや穀物の袋にも利用され、たたんで持ち運びのできる万能な調度品として、代々受け継がれる財産でした。
オールドキリムの素晴らしさは販売のためではなく、織り手の女性が家族への愛情・自分たちのために丈夫な織物を生み出している点にあります。
オールドと呼ばれる古布の多くに藍・茜・サフランなどの天然染料が使われているので、時間と共に色鮮やかに深みを増していきます。

ギャベはイラン南西部・ザグロス山脈を遊牧するカシュガイ族の女性たちが織り上げるシンプルで大胆でデザインと多彩で美しい色使いをしたウールの絨毯です。
その魅力は現代アートにも通じるものです。そのパターンには、無地、動物や花や植物、空、抽象的な模様があり、美しいグラデーションを創り上げます。
又、強い弾力を持ち、耐久性にも優れ、退色も少なく、天然染色なので洗うほどに色も冴え味わい深くなってきます。

【アフリカ・クバ族:ラフィア布】
布は男性が織ることが多く、一針一針刺していく模様は女性が手がけることが多いです。
儀式等に使われることが多く、長さは4mくらいあります。

【アフリカ・クバ族:草木染め絞り布】
布地はラフィア。
ラフィアとは植物の繊維を叩いて裂いて糸状に紡いで織られた布です。

【アフリカ・クバ族:草ビロード】
ラフィアの布の上に一針一針ループ状にすくっていき、それを最後にカットします。
出来上がったものは、表面がビロード状になるので、この名称が付けられています。

エスニックの室内でのインテリア・布使いなどは、その強烈な力のみを前面に押し出すのではなく、その個性を生かしながら、民族色から離れた独創世界を作り出すこと。
 「本物」にはこだわっても、「本場」には執着しないことだと思っています。
たとえば、イギリスのアンティークの家具にアジアの布や籠。泥くさいアフリカの布なら合わせるのはシャープなデザインの現代家具など。
とにかく想像力を駆使して、力まず、自然体で向き合うことが大切です。必ず素敵な世界が生まれます。

コンド族の真鍮工芸(インド)

この本は、小川弘氏が、日本民藝館館長(その当時)柳宗理氏の協力のもと、コンド族真鍮工芸を紹介する機会を得、カタログ制作をするに至ったそうです。1988年7月とあります。

真鍮工芸

この真鍮工芸を初めて目にした時、摩訶不思議な魅力を醸し出す...「いったい、どう言う物なのだろう」と単純に疑問を持ちました。少しだけ手に入れてみると、又、又、言い知れぬ疑問符です。
コレクターの方から、コンド族について鋳り方について解説して頂き、わずかに理解したものの、本当の意味では、異文化すぎて難解...というしかありません。しかし、型ある、この姿には、引き寄せられ、出会ったことを楽しみ...でも、あまり深くは勉強できていません。

かなり以前、秋野ふく氏の展覧会を京都国立美術館へ拝見に伺った折、その一角に小さなケースに入って、小さな「人・動物」達が並んでいました。10点余りだったでしょうか。
インドに深くはまった人達は、この工芸をコレクションしてしまうのだそうです。それも良き時代に手に入れ、皆様、手元に持って大切に包み込んでいるようです。
今では市場で見かけることは全くないそうです。

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