日常つれづれ(2025年)

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2025年

2025年(令和7年)4月8日
桜の花びらが風に舞い、小さな街は桜の花で…まっ盛りです。水無瀬川の堤に、水路の両脇に、街中に…住宅街のそこかしこに…。
西の山を見上げると…この季節、いっせいに桜が姿を表し山がピンク色に染まるのです。「私も、ここに居るョ…。」と言わんばかりです。普段はひっそりと寡黙なのに…それがとっても素敵です。

 

日本人がこよなく愛する桜の花は華やかだけではない哀しさも秘めています。散る花に日本人は命を…死生観を託すのです。武士道に通じるものを感じるのです。
そして自分の歴史の年月と同じだけ、幾重にも過ぎた想いがよみがえります。ただ無邪気だった思い出の小学校の校庭に咲く桜に始まり…自分自身の歩く姿でもあると思うのです。
散りゆく桜を見ながら、そんな事に思いを馳せるのです。

先月3月「村松学 吹きガラス展」。無事終える事が出来ました。楽しく語らった2週間…本当にありがとうございました。
私がインスタグラムを始めて約3年半になります。私の知らない所で大勢の方々がご覧下さっている事を実感した展示会でもありました。

私は体質的にアナログ人間なので、ひたすらインスタグラムを直視し良い写真を撮る努力を惜まず、作家の思い、作品の美しい姿を見つめていたい…そうする事を精いっぱいやって見たい…と思うのです。
SNSに振り回されず、奇をてらわず、言葉に思いを乗せて投稿してゆきたいと思っています。

舩木倭帆先生から村松学さんへ⋯
花染は舩木先生とのご縁が長く…30幾年の歳月の中で…作家の交代が難しく苦慮した…ここ数年でした。先生がお亡くなりになった後、お客様も私自身も、その思いからなかなか脱却できなくて、もがきました。

ここ数年で、「村松学さんの吹きガラス」が花染に定着するようになったのです。
もちろん、これまで舩木先生の作品を溢れる程、花染からお求め頂いて来たお客様。インスタグラムの写真が綺麗で…とおっしゃって来て下さった方々。幅広いお客様が展示会にいらっしゃって下さいました。

こうして世代交代をしながら前を向き、前へ進める事は、とても有難い事です。何より村松さんの吹きガラスを「美しい!!」と認識して頂いた事も大きな喜びです。

 

そして変わりゆく世相を体で受け留め…時代に流されない確かな精神を持ち続けて行きたいと節に願っているのです。

4月13日(日)は島本町の町長・町議会議員選挙です。この小さな街が、何時までも住み続けたい街である為に、町政に関心を持って頂きたい⋯。開発の波に押され変わりゆく島本町です。小動物達が、生きとし生けるものが健全な姿を、潤いのある姿を留める街であって欲しいのです。

毎年楽しみに待っている竹の子も…全く先が読めない…と農家の方から言われています。年々変わりゆく気候・環境が原因なのでしょうね。「期待をして、連絡が来るのを、ひたすら待ちます!!」とお伝えしてあります。

4月と5月は展示会は休みます。
たくさんの仕事を抱え込んでいる現状を、しっかり踏まえ、向き合って行かなくては…。家具をお作りする仕事も詰まっています。お客様と向き合い、丁寧な仕事をさせて頂く為にも、必要な時間を持とうと思っています。

花染の裏庭も、例年より少し遅れての春です。メダカも、二葉葵も沙羅の木の新芽も、春の陽光を浴び、瑞々しい生気に溢れています。私は毎日仕事への元気をもらっているのです。

 

これからの展示会

  • 6月初 西川孝次 吹きガラス展
  • 7月末~8月初 柴田雅章 作陶展
  • 10月14日〜25日 高橋正治 鍛鉄の仕事
  • 12月9日〜20日 細江義弘 木工小品展

魅力的な展示会に出来ますよう…準備を進めて参ります。

普段の常設の花染もいいものですョ。作品もたっぷり入っています。展示会にはない新たな発見がありますよう日々頑張っています。これからの良き季節を五感で受け留めつつ…今月の「日常つれづれ」は終ります。
お風邪など引かないで下さいませね。そしてお遊びにお出かけ下さいませ。
心よりお待ち申しております。

桜の木の下に咲く小さな花です。

2025年(令和7年)3月7日
冬の気配を残したまま、春を迎えました。毎日、店へ通う道程は、私の季節への基準になっています。天気予報と相談しながら一日の予定が決まるのです。

私の大好きな春の歌…以前にもこの頁に登場させたと思うのですが…
『石走る垂水の上のさわらびの萌え出づる春になりにけるかも』万葉集・志貴皇子
『君がため春の野に出でて若菜つむ我が衣手に雪はふりつつ』光孝天皇

たったこの短い歌に自然への賛歌・恋しい人への心情が溢れているのです。長文を書かずとも表現出来る…こんな美しい言葉で春を迎えたいですね。

桜の便りも聞こえて来ます。梅の花と早咲きの桜がメディアを賑わせています。確実に季節が移ろう…美しい日本の桜に思いを馳せるのです。

2月の展示会「河井久・河井一喜2人展」は、お客様のお気持ちが溢れる和やかな親子展で終わる事が出来ました。先生との思い出は尽きる事はありませんが、仕事に掛けた良き人生、用の美に掛けた先生の美しい人生を心に留めて置きたい…と感謝と共に胸に刻んだのです。

 

そんな穏やかなお話とは一転…メディアを通して見る映像は「人間の悪」で溢れています。戦渦の中で、祖国を家族を守ろうとする強さも…痛々しく胸に刺さります。それを写し出すカメラマンの使命感に、私は特別な思いを抱くのです。

私は、相変わらずNHK「映像の世紀」等々のドキュメンタリー番組を見ては辛くなる日々を送っています。NHKの取材力に感服し、それにもまして…カメラマンに尊敬の念を抱いているのです。時には表に出て欲しい…とさえ思うのです。そんな事を何時も考えながらテレビを見ている私は…妙な人間なのでしょうか。

大概は、録画しておいた番組を、深夜家族が寝静まってから、気持ちを集中させて見るのが私の習わしなのです。
この度3/2(日)NHKスペシャル「ディープオーシャン 幻のシーラカンス王国」番組が進んでゆく程に感動の渦に巻き込まれ、ただただ興奮してしまったのです。

6600万年前、恐竜と共に絶滅していたと思われていた古代魚シーラカンスが生きている…4億年を経て、化学者達の目の前に時を越えて現われたのです。
その一部始終を、第一人者である日本の岩田雅光博士と国際チームが追う…。その長期密着を8Kカメラがくまなく撮影。

 

インドネシア・フラウエ島あたり160mの深海に姿を現わしたシーラカンス。世界で初めて生きているシーラカンスを目にした化学者達の興奮…画面を通してその喜びがリアルに伝わって来たのです。私までも、驚きと興奮に包まれたのです。1mをゆうに超える古代魚は、目を引く大きなヒレを自在に動かし太古の姿そのままでした。

 

太古の姿ををあえて変えず生き抜き、激動の地球を生きのびたのです。私達人類にまで連綿と続く4億年の不思議を化学者達が読みとく…共通の祖先から出て来た事を感じさせるものを持っているのです。

やはり、ここにも素晴しいカメラマンの存在を欠く事は出来ません。この映像があればこそ、番組の感動が私達にリアルに伝わるのです。

 

アーカイブスをご覧になってもいいし、3/9(日)NHK7:30 ダーウィンが来た…
「空前絶後!シーラカンス大調査」で放映されるそうです。
ご覧頂ければ、尚リアルに4億年の不思議を見る事が出来ると思います。
興奮さめやらぬ私です。「私の習わし、私の癖ヘキ」を愛して止まないのです。こんな喜びに出会わせて頂けるのですから⋯。

☆気持ちを明るい日差しの春へむけましょう。

林松学吹きガラス展
2025年3月18日(火)~3月29日(土)
10:30~17:00
23日(日)・24日(月)休み

村松さんの作品も、すっかり花染に馴染んでいます。舩木先生からの長いご縁で、私共の店には無くてはならない存在になりました。展示会をさせて頂く程に、ファンのお客様も広がり、美しい吹きガラスの世界を楽しませて頂いているのです。作品もたっぷり送って下さいます。作品選びを想像すると、胸がふくらみます。めぐり来た春の喜びが溢れる…そしてお顔が輝く展示会にしたいと思っています。
心よりお待ち致しております。

そうそうーツ訂正が…
5月に「柴田雅章 作陶展」をさせて頂く予定でしたが、「5月〜6月に登窯を焚くので…。その後の方が作品を選べて…それが良いでしょう…。」とおっしゃって頂き、7月末〜8月初旬に展示会を変更させて頂きます。
日常のお料理を引き立ててくれる「器・食器」が欲しい⋯ので…と何時も柴田さんにお願いしているからでしょう。嬉しいお話しです。「コロナ」などの事情もあり、常設以外は、久しぶりの展示会となります。気持ちを整えて準備をしたいと思っています。
柴田さんの器は使ってみると、きっと驚くと思います…ヨ。不思議な魔力を持っているのです。

 

2月には凄〜いアクシデントがありました。この3月の展示会の案内状作りの寸前、20年余り印刷物をお願いしていた諏訪の印刷会社が予告もなく突然閉鎖されたのです。動転ですヨネェ〜。
「拾う神あり…」…花染の「ショップカード」を作って頂いている「ジグラット」さんが急きょ助けて下さって、3月の展示会に間に合ったのです。「怪我の巧妙」とはよく言ったものです。丁寧に移行して下さって、以前より、ずっと私は仕事がしやすくなりました。「天は自ら助くるものを助く」との言葉がありますが…自らではなく…彼のお陰で助けられました。感謝のひとことです。

この3月1日で花染は 42年目に入りました。悲喜こもごも…すでに苦しかった事は思い出となりつつあります。幾多の痛みも緩和されつつありますが振り返ると多くの苦難を乗り越えて来ました。花染と言う存在は、何があろうと、私を立ち上がらせてくれたのです。

たくさんの事をお客様、先生方、そして私を助けてくださる方々から…もちろん仕事の中から教えてもらいました。深い深い愛情とご縁あっての事と、心よりお礼申し上げます。
又、42年目を、仕事も身体も健やかに前を向きたいと思います。

村松学さんの展示会の頃には、桜も咲き始めてくれるでしょう!美しい日本の桜を「美しい!」と心から思える社会が来る事を願って今月の「日常つれづれ」は終わります。
季節が不安定です。どうぞくれぐれもお気を付けてお過ごし下さいませ。お目にかかれます事を楽しみに致しております。
いつも本当にありがとうございます。

桜川片口小鉢・古伊万里写し

2025年(令和7年)2月6日
こんなに 2月は寒かったんだナァと〜 と今さながら思っているのです。道行く人も背をかがめ、心なしか早走で歩いています。
我が家には節分にお面を付けて鬼を演じてくれる人がいるのです。でも寒いので鬼もお家に入れてやります。そして「豆は幾つ食べるの…?」と言いながら、今年も過ごしました。

花染の裏庭のメダカは時々、冬眠から目覚めたように、日によって水面に浮かんでいます。近場に群生している水仙も、チラホラ咲き始めました。紅梅も輝く朝日の中でふっくらして来ました。

 

冷たい空気の中でも、春は確実にやって来ています。「春が来る!!」何と良い響きなのでしょう。お部屋に花を生け、お気に入りのポットでお茶を入れ、ホッコリとするのも…それも良し!! 何か良い事があるかも知れないと待っている…そんな気持ちも愛しいですね。

2月13日(木)からの展示会が、もう目の前です。

河井 久・河井一喜2人展
2025.2.13(木)~2.22(土)
10:30~17:00
16日(日)・17日(月) 休み

長年、私共を支えて下さいました久先生が、かの国へ逝っておしまいになられて8年余り…春の様に暖かく、この大空の様に大きなお人柄でした。ご長男の一喜さんの作品にお力を添えて頂き素敵な展示会にしたいと思っています。
河井家に脈々と流れる寛次郎の教え…久先生は何時も「仕事を…そして人としての姿を学んだ。」とおっしゃっていました。大切な時間を河井家の方々と共に歩める幸せを大切にしたいと思っています。

久先生の作品を手に取ると、その力強さと先生の笑顔がよみがえります。一喜さんも、先生の志しをしっかり受け継ぎ、ひたむきに作陶に励まれています。ご縁とは有難いものですね。私も一生懸命に仕事に向かいたいと思わせてくれるのです。
是非、作品と共に、お2人の心の軌跡をご覧頂ければ嬉しいです。

 

私と花染は長い長い歴史を刻んで来ました。多くの学びも後悔も喜びもありました。
30年がひと世代と言いますので、世代交替は必至です。

しかし、今に伝えてゆきたい事柄もたくさんあります。
その中のーツに「古布・古裂」と言われるものがあります。
日本に古来より伝わって来た「布の文化」。明治に入り明治時代が終る頃までは、職人さん達の手によって、染・織の仕事が普通に行われて来ました。特に木綿の染織は庶民の暮らしには、あたり前だったのです。
綿を手で紡ぎ、染められ、手機で織られ…脈々と続いて来たのです。

時を経ると共に、その特徴的な仕事は機械生産に、とって変わられるようになりました。全く無くなった訳ではありませんが、この間に失われてしまった仕事は、はかり知れません。

ずっと以前、30数年前、その藍の染物・織物を訪ねて島根県や栃木県・益子などへお伺いした事があります。すでに稀有な存在になっていました。

そうして失われて行くと同時に…職人さんから作家さんへと移って行ったのだと思います。絹織物・麻の上布・芭蕉布などの中には、今も尚、職人さんに引き継がれ染められ、手織りされている⋯すっかり高価になってしまったものもあります。

私は布の研究をしたのではありませんが「古布・古裂」と言うものを、花染で扱い販売する事によって多少は学んだのです。

薩摩のからむし染に始まり…久留米絣・島根の筒書き・弓浜絣・伊予絣・丹波布・有松絞り・河内木綿など…これらは全て木綿です。それぞれの地方に…お国に手仕事があったのです。

越後上布・近江麻…そして堺更紗…とても美しい布です。
下の写真は上布と言われる麻の着物と芭蕉布の着物です。古い物です。

 

ここに書き切れるものではありませんが、無くなってゆく事が残念でなりません。

幸せな事に、私の身近に、目効きの古布の蒐集家がいました。この世界に精通している素晴しい女性でした。木綿・麻・筒書・更紗…あらゆる古布…品質の良さと量は特別に秀でていました。
私を信じてお分け下さったのです。それらの古い物が、美しく整理整頓されたお宅へお伺いするのが楽しみでした。

それゆえ、花染で販売する古布はとても上質でした。綺麗に洗い、アイロンがけられた品物にして店へ出しました。
布のままお客様に求められてもいきましたし、上布と言われる麻の着物などは、仕立て直しをして、お客様ご自身で着られた方もありました。

その古布の一部は日常使いが出来る…敷物や手さげ・種々の小物…タペストリー・ベストなどにも仕立ててもらいました。

 

そんなこまめな手仕事をして下さる方の手によって 見事な品によみがえったのです。でも時代ですネェ〜「古布・古裂」と言う言葉を知らない世代が大半になってしまっています。そんなこんなで…作品に仕上げて下さる作り手も年を重ね、もう止めようと思っていた矢先、お作り下さる若い方が申し出て下さって、少しずつでも続けてゆこう…と思えて来たのです。

まして、その作り手は 「こぎん刺し」までやってくれると言う…何と嬉しいのでしょう。日本の古い布を⋯花染に残っている古布を生き返らせてやりたいと思っているのです。

 

話は突然変わります。
この所、再放送のNHK「坂の上の雲」司馬遼太郎原作…をしっかり目を見開いて見ています。明治になって30数年で大国ロシアとの戦い…それは日本国が滅ぶかも知れない戦いであり、無謀とも思える戦いでした。

小学生か中学生の歴史の時間だったか…東郷平八郎が、ロシア・バルチック艦隊を破った日本海戦を学びましたヨネェ〜。その戦は、いかにして成しとげられたのか…。

歩みを早めてゆく日本国…西欧諸国に追いつけ、追い越せ…と歩んだ日本国。まだまだ残り数回続く…このドラマをしっかり見据えてみたいと思うのです。中国大陸アジア諸国への侵略⋯そして太平洋戦争への悲劇へと続くプロローグであると⋯。

若い頃、司馬遼太郎記念館へも行った事があります。天を突くばかりの蔵書でした。あの凄〜い内在するものがあっての作家なのだと…。
赤いペンで幾度も推こうを重ねたであろう原稿用紙にも感動しました。

父が好きな作家の1人でした。父のたくさんの蔵書の中に「龍馬がゆく」「街道をゆく」などの長編がつまっていました。父の本棚は私の読書の原点なのです。あれから父の本はどうなったのでしょう。懐かしい父の姿が見えます。

何かしら世界は不穏です。底しれない悪で満されている様な気がしてならないのです。気候変動、地球温暖化を検証すべく研究者は懸命に訴えかけるも、知らぬ存ぜぬ…と勝手放題に見えてしまいます。

ア~アァァ~何とかなかならないのでしようか…。私のつぶやきは何の役にも立たないですね。でも「日常つれづれ」は私の弱さも含めて「ぶつぶつ」何時までもつぶやきそうです。私は一生懸命、静かに仕事をし、花染らしくありたいと思っているのですが…。

春はもうすぐ…何かしら、何でも良い⋯心健やかに暮らしたいものですね。お花屋さんは、春の花で溢れています。いつもおつき合い下さいまして本当にありがとうございます。

河井久 作

2025年(令和7年)1月13日

新年のご挨拶が遅くなりました。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

新たな年、元旦からお天気に恵まれ穏やかな三が日でした。毎朝、東の空から昇るお日様に思わず手を合わせます。東の空が美しく茜色に染まり、またたく間に頭を出すと、一気に私達の生活を照らし始めます。神々しいまでの朝日…健康への感謝を込めて、自然に手を合せたくなるのです。

年令を重ねる程に、その思いは深くなります。今年2025年は昭和100年と言う事です。

お正月三が日は、祖母から母へそして私へ受け継いだ、漆のお椀を使います。お雑煮も、父が母が家族が慈しんだお正月を、小さな我家の小さな世界に再現致します。ここから1年が巡り始め…ふる里の記憶と共に感謝で一年を祝いたいと思います。

初詣は、例年のごとく京都へ…北野天満宮・六波羅密寺へ、一年の思いを込めてお参りをさせて頂きました。

 

お正月三が日を過ぎた頃…ニュースで報じられる日本列島に降り積もる雪…その甚大な災害に絶句してしまうのです。
関西は大雪に苦しむ事はあまりありませんが、仕事上、地方へ出かけます。その地方で思いもよらぬ大雪に見舞われた事もあります。
雪の山陰・雪の小鹿田、小石原・冬の益子・そして雪の金沢…。
そしてお正月休みの旅…大雪の白川郷・郡上八幡・一夜にして1mを越える雪に降り込められた高山・風の冷たい鳥羽…。数限りなく冬の旅をしましたが…それのーコマ、ーコマが絵画のようにくっきりと思い出されます。
懐かしいような、痛いような複雑な心模様です。

そうこうしている内に新しい年は…七草がゆも過ぎ、鏡開きも終わり…すでに世の中は始動しています。

2月…河井久・河井一喜2人展 2月13日(木)~2月22日(土)
今年の展示会の始まりです。

河井久先生が亡くなられて8年余りになります。大空のように澄み渡った大きなお人柄でした。河井寛次郎・河井武一先生を師とし「2人から仕事を…そして人としての姿を学んだ。」とお聞きしました。寛次郎、次いで武一氏に20年にわたり師事なさったのち、昭和59年に滋賀の地に窯を築いたのです。

いつも花染を包み込んで下さる優しさを…先生との時間を、私の大切な時間を共に歩ませて頂いたのです。突然の先生とのお別れでした。深い喪失感でした。

先生は、良き時代を生き、作陶に励まれ、日本各地の百貨店の美術画廊などで個展をなさっていました。花染のような個人の小さな店では珍らしい事だったのではないでしょうか。

先生の花染での展示会は、ご遠方からも、たくさんのお客様が来て下さって笑顔溢れる、賑やかな時間を過ごしたのです。先生のお話も楽しく、寛次郎との思い出話を、お客様も私も心が躍るようにお聞きしました。

「すご~い!!」と思いながら私も作品から力を頂いたものです。

先生がお亡くなりになった翌年、たくさんの作品をお預かりさせて頂き、回顧展をさせて頂きました。2017年5月のことです。

亡くなられてからも、一年に一度くらは、先生の作品を頂きに通いました。やはり私の心を打つのです。花梁のお客様も、その思いの中に居たと思います。
ひたすら作陶に励まれた、先生の愛する作品の数々…人生の大切な時間を共に歩ませて頂いた幸せを心より感謝しております。

享年74歳「健康の美」「用の美」に捧げた美しい人生でした。

先生のご葬儀に参列させて頂きました。民藝協会の方々、そして先生のふる里・安来からの方々…ご立派なご葬儀でした。最後に先生をお見送りする皆様に、一喜さんがご挨拶をなさったのですが…そのご挨拶に私は感動したのです。涙が一気にせきを切って溢れました。

お父様の久先生にむける…ご長男としての言葉は美しく哀しく…皆の心を捉えたのです。その時の光景は、くっきりと目に心に焼き付いているのです。

子供は親の背を見て育つ…と先人達は言いますが、その折の一喜さんの姿は忘れない…。そんな気持ちで、これからも、彼とお仕事が出来ればこんな嬉しい事はありません。

以前…チョット昔。本格的な「花染通信」を発行していた時期があります。「2003年11号」「河井寛次郎と仕事」「河井久作陶展」「作家への旅」を書かせて頂きました。

一生懸命、私なりにまとめて文章に致しました。もし、よろしければコピーをして店に置いておきますので、お読み頂けると幸いです。

★ 久先生の作品は、すでにたくさん頂いて来ています。一喜さんの作品は、一月下旬に焚く予定なのだそうです。合わせて素敵な良き展示会になりますよう…花染も頑張ります…ね。

河井家のお話しで、この度の「日常つれづれ」は終始致しましたが、展示会に是非お出かけ下さいませ。

スポーツニュースも大好きで…今年も大谷翔平選手の話題で始まり…日本での開幕戦…楽しみですね。テレビで…ですけどね。
私は相変わらず、「映像の世紀」「NHKスペシャル」にのめり込んでいます。

雲霧仁左衛門に、むちゃ惹かれる自分も居ます。時代劇の中に日本の美しい姿をみるのです。岡田准一さんの…待…も大好きなのです。
NHK BSも最近、心に焼きつくような番組を放映する事が少なくなった様な気がします。ドラマにして欲しい原作の本は、いっぱいありますのに…ね。そんなミーハーの自分も…良いかなァ~と思っています。

超アナログの私ではありますが、アナログ人間にしか出来ない事もある。と信じてしっかり前をむいて歩きたいと思います。人との別れも、喜びも哀しみも…なによりも自分の弱さも…いっぱい身にまとい年を重ねてゆくのですね。
その…いっぱい…を生身の私の中に包み込み「日常つれづれ」を書いてゆきたいと思います。
私の大好きな椿の花の季節です。仕事に育ててもらえる様に何時も謙虚でありたいと思う…昨今です。

インフルエンザがすごい勢いで流行しているとの事です。皆様が今年一年、お健やかであります事を心より願っています。冷たい日々ではありますが、お時間がございましたら…どうぞお出かけ下さいませ。

初詣の道の途中で見つけた
つわぶきの花です。

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