日常つれづれ(2023年)

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2023年

2023年(令和5年)6月1日
清々しい風が街を流れ溢れる緑とあふれる光です。4月、5月、6月は、一年で一番好きな季節ですが…初夏6月ともなると…日差しは一層強くなり汗ばむようになります。

太陽と風…この自然の恵みは、何時も変わる事なく私達に降り注ぎます。今年はすでに梅雨入りしてしまいましたが、田植えが終った水田に…小雨が波紋を広げるさまは、より美しい日本の四季を感じるのです。

しかしこの風景も日常の中で見る事は少なくなってしまいました。遠くから聞こえるうぐいすの声…どうにか、この田舎町の風情をとどめているのです。

そんな5月中頃、突然届いた便りが…一瞬、舩木 倭帆先生から…?…と錯覚してしまう封筒でした。よく見ると大山崎山荘美術館からの案内状でした。開対し、急ぎ内容を確認したのです。

7月に、この美術館で「船木倭帆・没後10年」記念展がある事は随分前から知っていました。
届いた便りはその展覧会に先行しての内覧会への招待状だったのです。

こんな形で案内状が届いた事に、私は喜びを隠し切れませんでした。

先生を敬愛し、私の人生の師でもあったのです。先生の作品に出会ってからの長い長い師弟のような関係が…先生を亡くした悲しみが蘇ったのです。

若い若い…私の青春でもありました。
40数年前、偶然見つけてしまった数点の先生の作品は、私の心臓を鷲づかみにしたのです。

そこには大きなポスターが貼ってありました.「九州民芸村・つくし工芸」「船木倭帆ガラス研究所」と書かれていました。衝撃でした。
「この方のガラス以外は買わないでいよう!!」と若い私は胸が震えたのです。

その時から2年…いみじくも店を始める事になり、先生の作品への思いを手紙に託したのです。何の人脈がある訳でもない新参者の若い私に、お電話を下さったのです。
「たくさんではないのでしょう…!」私は「まだ力が無いので、少ししか頂けないのです…」そんな会話が交わされました。先生のお優しい声は受話機を通して伝わって来ました。

アっと言う間に先生の作品は花染を席巻していったのです。それは、私の熱い思いの原動力になっていきました。

その頃、先生はご病気を抱えていたにもかかわらず、それまで以上に仕事をするべく福山に工房も移されました。私がひんぱんに通うようになったのは言うまでもありません。

先生の作品は、日本中から展示会のオファーが絶え間なくおありだったにもかかわらず、花染は、常設をさせて頂ける幸せな店でもありました。先生の存在は花染の中心…柱となっていったのです。

「大山崎山荘美術館 開館10周年」記念展も、船木先生の展覧会でした。この折出版された本は、ほぼ大山崎山荘の内外で撮影された写真です。
この記念展のオープニングにも招待して下さいました。懐しい良き想い出となっています。

 

先生は大山崎山荘美術館が大好きでした。大阪へお仕事で出て来られると、立ち寄られていました。そしてふらりと…花染にも寄って下さいました。

「よく、この人口の少ない街で、このレベルを保ったネ…。」と…。私への言葉は私の宝物です。何もかも鮮明に記憶しています。

毎年のように展示会もして頂きました。…何より常設してくださった作品はたくさんのお客様の心を虜にしたのです。

長い月日が流れました。先生の偉大なる生涯を…何時までも記憶し、たくさんの喜びを頂いた事に深い感謝の念を持ち続けたいと思っています。
「これからも、前を向いて歩きなさい…」と励まして下さるメッセージと受け留めて、内覧会に出席させて頂きたいと思っています。

花染は、お客様から家庭菜園のお野菜など、いろいろの食材をたくさん頂くのですが、充分にそれを活かしてやるのも私の仕事です。

 

仕事と家庭の間で時々疲れ切ってしまう事もありますが、こんな幸せを運んでくれる食材からエネルギーを分けて頂いています。
お米も農家の方から…知り合いの方から頂くのですヨ。白いお米のご飯も大好きです。

器も幸せを運んで来てくれます。昨年とは少し変化をもたせたいと思い…
こんな器選びはいかがでしょう。

この季節、つるん〜とおそばやお素麺が食べたくなります。盛夏にはガラスも涼やかでいいですが、今の時期は、陶器・磁器で暮らしを楽しんでみたいと思います。
たったそれだけの事で生活にゆとりが生まれます。

最近マグカップも変えてみました。スリップウェアーの渋いものから、赤地径さんのポップで色彩豊かな作品に切り変えました。それはとても嬉しい出来事です。

ちょっと疲れた心と体は、元気になれるから不思議です。

話は変わります。
先日(5月21日)久しぶりに京都市京セラ美術館へ「石本正・生誕100年回顧展」を見に出かけました。
多くは書かない事に致します。芸術は感じるものだと思うからです。

地位や名声を求めることなく最後まで絵画一筋に生きた75年に及ぶ画業、そして95年の生涯です。
島根県浜田市生れ、京都市立芸術大学で日本画を学び…

情熱的でリアリティあふれる舞妓や裸婦像…線が美しい…線に込める想い…を堪能させて頂きました。

一年ぶりの京都市京セラ美術館ではありましたが、やはり旧館の方へ目がいってしまいます。写真をいっぱい撮りました。長い年月の馴染んだ佇まいは落ち着きます。美しい日本の職人の技が光ります。

 

 
6月の展示会

細江義弘 和の仕事展
2023年6月6日(火)〜17日(土)
10:30~17:00
11日(日)・12日(月)休み


飾り棚・椅子・膳・盆・茶托・トレー・額・器・鏡など⋯

細江義弘氏の小品展は、2年に1度させて頂いています。日常の暮らしの中で使って欲しい作品です。お客様からご依頼を受ける事が多い小品をまとめて作って頂きました。
大きな家具のご注文も 受け賜っております。

花染の裏庭の姫紗羅の花が満開です。まだまだ小さな蕾をたくさん付けています。今年は何故か不思議なくらい多くの花を付けました。

木の背文が大きくなって、写真を撮るのが難しくなってきました。
気持ちか浮き立ちます。小さな庭であるがゆえに、とっても嬉しい事なのです。

この度の「日常つれづれ」は舩木先生と花染の縁しを書かせて頂きましたが、先生の偉大なる生涯は、4冊出版されている本にあます所なく書かれています。お読み頂けますと幸いです。

どうぞ朝夕の気温の変化にお気を付けてお過し下さませ。そして6日(火)からの展示会にお出かけ下ませ。心よりお待ち申し上げております。

姫紗羅の花

2023年(令和5年)5月8日
5月の爽やかな風が心地良いですね。島本町は大阪の中でも、最も京都寄りの小さな田舎町です。この小さな街に西の山からオゾンたっぷりの風が流れ、独特の雰囲気を作ります。

我家から店まで6分程の道は下り坂です。その坂道を風を切って走ります。髪の毛1本1本に風が通り抜けてゆく…思わずスピードが出てしまいます。
早朝の風は、まだチョット冷やりと、爽快そのものです。

それなのに今へルメットを推奨、義務づけられると言う…何と酷な事でしょう。
たかだか数分間の道程ですが、自然が溢れているのです。桜並木が連なり…緑あふれる木々でおおわれた道には名を知らぬ草花が咲き、思わず自転車を飛び降り、見とれる事もあります。

 

少し遠回りをすると、季節がその折々、何気ない情景を見せてくれるのです。

真っ正面から朝日が眩しく降り注ぐ…私が主婦から仕事人へスイッチを切り変える貴重な数分間です。

ヘルメットを…と言う事も分からなくもないですが、臨機応変に対応して欲しいものですが…ダメですかねぇ~。

世の中の動きは凄いですねぇ~。3年間の制限ある生活を耐えていたからでしょうか。皆さん弾けたようにお出かけです。人が溢れ、自由を目いっぱい亨受しているかにお見受けします。

コロナ以前よりは、いい意味で、ひと味異なる社会になって欲しいと思うのですが…。

私も久しぶりに京都の「哲学の道」へ緑のもみじや疏水の流れを肌で感じながら、そぞろ歩きを楽しみたくて出かけました。いつも変わらずの空気感が…ゆったりと迎えてくれるのです。

四季を通してこの場所へ、足がむいてしまうのです。

何も考えない…それでいて何かを教えてくれる。若い頃から幾度訪れた事でしょう。

谷崎潤一郎も、この地を愛し、法然院に墓地を定め、しばらくの間、居を構えたのだそうです。この静寂は日本人の心です。

ここより少し離れた所にある…もうーツの大好きな館へ立ち寄らせて頂くのも、この哲学の道へ行く大きな要因でもあるのです。 

 

本物だけが織りなす佇まいは、何時なんどき訪れても心のこもった花が生けてあり、穏やかな空気で満たされているのです。JBLのオーディオから流れる音楽は、体の奥深く静かにゆるやかに浸透するのです。私の至福の時間です。
そんな日々がずっとずっと続いてくれる事を切に願っています。

コロナ禍の中、NHK BSの番組を探す事が多くなりました。毎月のように、この「日常つれづれ」に書いていますよネェ~。「グレースの履歴」…花梁インスタグラムにも投稿したのですが、すっかりはまってしまいました。美しい映像も、このドラマを魅力的なものにしています。

真っ赤なスポーツカーを介して綴られる…優しくも哀しい生きる事の…深い意味。
ご覧になられた方も多いようですので、詳細は割愛致します。

4月中頃に放映された「心の糸」と言うドラマも…我が身を振り返らざるを得ませんでした。
映像の世期も、BSのドラマも…美しい映像「ワイルドライフ」も、ドキュメンタリ一番組も、ノンクィクション番組も…日々の暮らしに疑問符を持たせてくれると思っています。

民放の中に…TBS系土曜日午後5時30分「報道特集」と言う番組があります。
現在のメインキャスターは膳場貴子氏です。凛とした姿勢、強い意志…いつも体を乗り出して拝見しています。

田丸美寿々さん…彼女がこの番組のメインキャスターだった頃…調べてみると1994年~16年間、この「報道特集」を引っぱっていました。強い覚悟と意志が見て取れる内容でした。社会問題を学ばせてもらう為にも真剣に見ていました。彼女は、外面・内面ともに魅力的な方でした。

女性キャスターの先駆けだったのです。今尚、あの当時の事は忘れないですね。
全くの私見であって…あくまで好みですので…

これからも新聞のテレビ番組欄を指でなぞりながら、この様な番組を探す日々を送るのでしょうね。

話は変わります。

懐かしい人々が花染を訪れてくれました。昔の仕事仲間であり、スキー仲間でもあった方が奥様とご一緒に来てくれたのです。それはそれはもう…話を奪い合うように昔話に花が咲きました。

当たり前ですが「若かったねぇ~」何をしても笑っていられる…悩みかあっても、辛い泣きたい時も、前を向いていられた…長い年月が経ってしまった…そんな昔のお話です。奥様とLINEでつながり、インスタグラムを交換した…これは新しい出来事です。

東京からのお客様も…。2月からお約束をしていて、心待ちにしていました。大阪へ「文楽」を見にいらっしゃると、私共へお立ち寄り下さる素敵な女性です。コロナ禍ゆえ、隨分久しぶりになります。

同じ年代なので、お互いの話が近いのです。お目に掛かれなかった月日が一気に話となり溢れます。時々はLINEでやり取りはしているのですが、直接お目にかかる彼女は、やはりお酒落です。 彼女の行動力、瞬発力に私は魅せられているのです。

楽しいひと時をありがとうございました。どうぞ次の時までお元気で…と。
又、お待ち致しております。

6月の展示会「細江義弘 木の仕事展」を致します。
会期 6月6日(火)~6月17日(土)

 

飾り棚・椅子・膳・盆・茶托・トレー・器・鏡など、なかなか普段、時間が無くて、お作り出来ていない小品が中心です。とても頑張って下さっていますので、どうぞ楽しみにしていて下さいませ。お出かけ下さいませね。

このところ毎晩のようにスポーツニュースの中でエンジェルスの大谷さんを拝見します。多分、日本中が、いえ…世界中かあの爽やかな笑顔に勇気をもらっているのではないでしょうか。

3月のWBC以来、日本のプロ野球にも影響を与えた事は必至ですね。大谷さん自身も、あの時から勝つ事の意味を実感したのではないかと推測します。エンジェルスを勝たせる事にも情熱を注いでいる様子を好ましく拝見しています。
スポーツニュースを見る事も、今まで以上に楽しみになりました。

4月・5月・6月は一年の中でも特に好きな季節です。日本に四季があって良かったナァ~と何時も思うのです。新緑の美しき日本列島。

45億年の遥かなる地球…。ことごとくが自然の大切さを教えてくれるのです。

辛くても哀しくでも、悩んでいても…いい顔をしていたいナァ~とこの年になるとしみじみ考えるのです。
そんな5月…初夏に向って普通の暮らしが送れます様…。「日常つれづれ」も、とりとめのない話で終わります。 

2023年(令和5年)4月1日
桜の花びらか舞っています。寒い冬を耐え、2月3月…そして日本中が桜の季節を迎えるのです。
ここ島本町は 3月28日、29日、30日くらいが満開でした。今年はWBCで湧く日本列島に…皆と喜びを分かち合う様に桜がやって来ました。
未だ冷めやらぬ「サムライ・ジャパン」の雄々しい姿と共に2023年の春は特別な季節になったのではないかと思うのです。

はらはらと散りゆく桜…北へ向かって駆け上がる桜前線。
東北·北海道…桜の便りをテレビの映像を通して見るのも楽しみです。まだまだ続く美しい桜の季節。
華やかな八重の桜はこれからです。

先月・3月「村松学 吹きガラス」花染40年記念展を、無事終える事が出来ました。楽しく語らい良き時間を持てました事、本当にありがとうございました。心よりお礼申し上げます。
今後共、ご指導賜わります様、よろしくお願い申し上げます。

仕事への思いは尽きる事はありません。前を向く事が日々の糧になるのです。

WBCの戦いが終った後に、報道番組の中で栗山監督が「出来るか出来ないかではなくて…やるかやらないか。」とおっしゃる…その柔和な笑顔を拝見しました。

年を重ねる事で、桜の散る季節は、より感傷的になります。桜の花は、あんなに静かで潔い…。誰もが、こうなりたい…と思う自分がいると思うのですが、私はまだまだ凡人の道を迷いなから歩くのだろうと思いを深くしてしまうのです。

桜の季節に、私の中に残る映像があります。
昨年のお花見…雨の降る中、鴨川の提を歩いた時の事です。コロナ禍の中でもあり、人もまばらな事と重なり、鴨が10数羽、土手にヨチヨチ歩きを楽しんでいました。

数人の若い人達が近づくと、急ぎ足で川面に戻って行きましたが、2羽のペアがそのまま立ちつくしているのです。静かに近づいてみると雌の鴨が片足を羽の中に上げ、体を丸くして動かないのです。

足を痛めている様でした。その側で雄の鴨が心配そうに寄り添っているのです。しばらく私達も見守っていましたが、雌の鴨は微動だにしません。
その2羽の姿が余りに健気で…あんな風に私は生きる事が出来るのでしょうか…。どうにかしてやりたい…そう思うばかりで、その場を離れてしまいました。動物園か市役所へ電話をすれば良かったのか…。あれからあのペアはどうしたのでしょう。ずっとずっと忘れ得ない光景です。

時折、思い出すのです。自分のスマホを見ると映像が残っていました。その時何もしてやらなくて、その場を立ち去ってしまった自分…どうすれば良かったのか…こういう時…自問自答するのです。

今年も鴨川は、お花見の人々でにぎわった事でしょう。もう鴨は土手には上がって来ないでしょうね。
コロナ禍ゆえ静かな鴨川の水の流れを楽しんでいたであろう生き物達…複雑な思いです。

桜の花の季節は、自分の歩く姿に重なります。自分の歴史の数だけ色があります。
楽しいだけではない思い出と共に…美しいゆえ、哀しくもあり、そして喜びも同時に誘い込むのだと思うのです。

何だか小理屈を並べましたが、暮らしの中で「物や事」を見る目を養ってゆきたいのです。

春らしい食材も私達を元気にしてくれます。ふきのとう・菜花・わけぎ・タラの芽…そしてこれからは竹の子です。

お仲間達と釣りに行ったお客様から、大きな鯛を頂きました。桜鯛です。まず包丁を研ぐ事から始めます。鯛の骨は太いので手強いですが、お刺身にする部分を多く取りたくて格闘しました。

これも母の台所仕事…見よう見真似です。上手くはないですが、どうにか頑張りました。
1日目はお造りでたっぷり頂き、2日目は、珍しくカルパッチョらしきものにしてみました。その他はアラ煮です。

調理に熱くなりすぎて、鯛の写真を撮り忘れてしまいました。それはそれは見事な大きな鯛でした。
春を満喫させて頂いた幸せな我が家でした。

そんなこんなで春爛漫の3月も終り、いよいよ新しいシーズンです。
新学期が始まり、新入社員が出発ですね。初々しい子供達が街を行き交う姿を見るようになりますね。

我が店の裏庭でも、小さな小さな季節が息づいています。沙羅の木は瑞々しい新芽を…ひなぎくげしは蕾を付け…ニ葉葵も、赤紫色の花を咲かせました。

これから4月5月と春本番です。どうぞ良き日が巡り来ます事を願って…4月の「日常つれづれ」は桜にまつわる話で終ります。

★4月の展示会のお知らせです。

山ぶどう手さげかご展
2023年4月6日〜4月15日
10:30~17:00
9日(日)・10日(月)休み

桜の木の下に小さな可燐な花が、いっぱい咲いていました。
愛しい自然が溢れる情景です。

 

2023年(令和5年)3月6日
静かに明けてゆく美しい東の空。日の出を予感しながら、早朝…昨晩やり残した仕事をするのです。春はあけぼの…とはよく言ったものだと思います。

春は不思議な季節です。3月に入ると光が急に輝いて見えるのです。そして春が来た!!そんな思いです。
あれもこれも、たくさん事情を抱えて暮らす私は、春の日差しに救われるのです。生きとし生けるものに活力と喜びを与えてくれるのですね。

こんなに春を待ち望んだ事はなかったように思います。冬の気配を残しながら…大きな希望が見えてくるから不思議です。

裏庭の二葉葵も、ほととぎすも新しい芽が…等しく春が来ました。
小さな小さな庭に春の息吹が…メダカも目覚め…ゆらゆら泳ぎ始めました。

そんな中で友達が「3月1日は花染の誕生日ですね。40年…努力の積み重ねと頑張りですね。感慨深いですねぇ〜」とLINEを送ってくれました。忙しすぎてポッカリ空白だった私の頭は突然よみがえり、そうだ「仕事が落ち着いたら、夫と2人で花染の誕生会をしよう!!」…そう思うと脳が動き始めました。

花染の40周年記念展へ向う仕事が待っています。

村松学 吹きガラス展
2023年3月14日~3月25日
10:30~17:00
19日(日)・20日(月)休み

舩木倭帆先生から村松学さんへ…先生が導いて下さったご縁です。先生の理念を色濃くつなぎ、お人柄そのものの作品は私達を健やかにしてくれるのです。
まだまだお若い村松さんですので、ガラスの質感を大切に美意識をより高めて下さる…と期待を込めて見守っています。

本当に長いおつき合いになりました。村松さんとのご縁は、先生がお亡くなりになられた大きな悲しみから立ち上がらせてくれたのです。

40周年への思いを…たくさんのお客様から頂いた励ましを、そして作家さんからの熱い思いを…本当にありがとうございます。
多くの苦難を乗り越え、今日までよくぞ無事に…との思いでいっぱいです。深い深い愛情とご縁あればこそです。

40周年を…何かを期待してお出かけ下さいませ。心よりお待ち申し上げております。

話は突然変わります。
寒かった2月、久しぶりに登場させた、やぐら炬焼に足を突っ込み、新聞を読み、テレビ欄をくまなくなぞり…興味深いものは何かないかなぁ~と…そしてフッと出会った番組。

高村薫原作「照柿」(てりがき)2月18日(土)PM9:00 BSテレビドラマ。全3回を一挙に…3時間半の長丁場を釘付けにさせてしまう程に心を奪われてしまったのです。

一貫して流れる画像は重くて…惨劇に向う…人間の底知れぬ情感を三浦友和・田中裕子・野口五郎が、ひたすら心理戦…生きざまを見せるのです。3人の運命は…。

平凡な顔の中に見る凄みと悪魔。悪魔が顔を出す。深部を流れるものとは…。

そしてもう一ツ。BSプレミアム「ガラパゴス」ご覧になられた方も、たくさんいらっしゃったと思うのですが、現代社会の不条理を描いていました。
原作・相場英雄の長論ミステリー小説、織田裕二主演。

久しぶりに見る骨太のドラマでした。このドラマを見終り、人間の社会は、そして日本はどこへ向かうのか?本気で誰かに尋ねてみたくなる…前編・後編3時間のやり切れない思いを引きずってしまったのです。

そんな不条理とはうらはらに…。
今まさにWBCの行方、サムライジャパンの行方…に盛り上がっていますね。野球は大好きで、よくテレビ観戦をします。若い頃は球場にも出かけました。

いみじくも野球は人生に似ていると思うのです。コツコツ点数を重ねたり、エラーをしてしまったり、ボコボコにやられてしまったり…そして野球は9回裏ツーアウトから…とよく例えられるように…どこにチャンスがあるか、諦めかけた9回逆転…よくある事です。

どうぞあの大谷君の笑顔がいつまでも続く試合であって欲しいと願うのです。

どんなお話しにも努力が必至です。生きる事は美しくもあり苦くもあり…でも乗り越えてゆくのですね。そのカも同時に与えられているような気がします。そして花染という存在は、何があろうと私を立ち上がらせてくれたのです。

どんどん時代は変化してゆきます。私は相も変わらず超アナログです。人様に助けられ、私という人間を成長させてくれた森羅万象ことごとくに、深く感謝しています。それと同時に仕事をさせて頂く責任をいつも感じています。

皆様から頂いたご縁を大切に3月14日からの展示会を楽しく盛り立てたいと思います。

桜の開花のニュースも聞かれるようになりました。日本の桜は世界に誇れる文化です。いつまでも「美しい!」と誰もが思える平和な社会であって欲しいと思います。

まだまだ寒さも残る日々です。どうぞお風邪など、お気も付けてお過ごし下さいませ。

梅文長角皿・赤地 径 作
梅の花が、今満開ですね。
2023年(令和5年)2月7日

寒い寒い…が口癖の毎日を過ごしています。
しかしニュースで報じられる日本海側、北海道の風と雪を見ると、その甚大な量に絶句してしまいます。
この所、年々雪が多くなっている…とお話になられる地元の人々の姿は痛ましい限りです。
先日の報道ステーションで何故…日本海で何がおこっているのか、荒波に観測船を出し、体を張って検証している大学チームの姿が写し出されていました。自然は「まった」がきかないのです。精査してあらためて発表する…とのお話しでした。

立春も過ぎました。日差しだけを見ていると春はそこまで…と感じられるのですが…。節分は、にぎやかに豆まきをしましたヨ。年を重ねる程に食べる豆の数が増えます。「いつの間に、こんな年になったのかナァ〜」と毎年こんな会話です。

ちょっと事情があって小さく小さく暮らしているのですが、だからこそ日常を大切にしたいと思っています。

そして小さな幸せ…。店の器を我家に持ち帰り、食器棚に並べ、得意になる喜び…美しく見えるよう配置を変え…ヨシ!ヨシ!とながめる嬉しさは、ごく普通の暮らしではありますが、大きな喜びとなっています。

我家は和食が主体の食卓ですので、昆布とかつお節で出汁をとり、冷蔵庫に常備しています。お出汁をとる香りが台所に広がると、何だか母を思い出します。娘は母と同じ事をしながら台所に立つのですね。母はもっともっと手間をかけていました。懐しく思うのです。

あくまで家庭料理ですが、美しい食卓…色彩や形状を考えた器選びは、日々を安定させてくれる様な…そんな事を心がけているのです。

美味しいものを頂く事は幸せな事ですね。
京都の行きつけにしていた洋食屋さんが、お年を召された事と奥様の体調不良で店を閉めてしまいました。ご夫婦で営む…カウンターとテーブル席が1ツ…という小さな店でしたが、長年通い、私が作るのが苦手な洋食をすべて補ってくれていたのです。いつも満足させて下さる大切な店でした。

通い慣れたイタリアンの店も閉店してしまいました。アンティークな店内・素敵な心優しいスタッフの方々に、私はとても馴染んでいました。
最近の例にもれず、店は壊され、その敷地にはホテルが…そんな京都です。ホテルばかり建てて…どうするの。小さなホテルから外国資本の超高級ホテルまで、今尚、建設は広がっています。

話は変な方何に流れてしまいましたが、私は古い情緒ある歴史ある京都を見付けながら、良き町並や文化を探して訪ねる事に致しましょう。
そういう意味では、京都はとても奥が深いのです。

私は家庭料理を、普段の暮らしの中で丁寧に作っていればいいかナァと…。でも和食には、私なりのこだわりがあるのですヨ。
そして食器とは、こんなに人の暮らしを楽しくしてくれるものだと…手前みそではありますか…そう思うのです。

そんな花染ではありますが3月、40周年を迎えます。
ふり返れば長くもあり短かくもあり、過ぎた日々が脳裏をかけめぐります。幾度となく押し寄せる苦難を…あの時、あの大変な時を乗り越えたのだから、又きっと乗り越えられる…と信じていました。

大きく健康を害した時には、もう終りか…と覚悟した時もありました。平坦な道を与えられる訳でなない…と自分を鼓舞するのです。
でも、悲しみも喜びも楽しさも、全て数限りない人々に支えられ一生懸命でした。

徳川家康の「人の一生は重荷を負うて遠き道を行くがごとし。急ぐべからず。」との言葉を思い出すようにしていました。先人達の数々の名言は、私の中で常に生きていました。
よくぞここまで…と感慨深いのです。

舩木倭帆先生の書かれた本も私の道標でした。花染開店当時からお亡くなりになるまで、優しくて強い先生は、幾度となく私を支えて下さったのです。

 

舩木先生がご健在の頃は、何時も先生の作品で記念展をして頂いていました。ご遠方からもたくさんのお客様がご来店下さって、にぎやかな時間でした。
先生と奥様、そしてお客様…そして私。笑顔溢れる花染でした。美しいガラスが2Fいっぱいに並ぶ光景は、舩木先生の思い出と共に忘れる事はありません。

今回の40周年記念展は、舩木先生の愛弟子である村松学さんにお願い致しました。
3/14(火)〜3/25(土)開催の予定です。

 

その頃には、美しい日本の自然は、光と共に輝いている事でしょう。
生きとし生けるもの、ことごとく生気を帯び…桜の花の便りも聞かれる様になりますね。

皆様への感謝の気持ちを胸に、楽しみながら準備を進めて参ります。春をむかえて、キラキラ輝く展示会にしたいと思います。

節分の次は、そろそろおひな様。店にもおひな様をお出し致しましょう。春が待ち遠しいです。温かくして下さいね。我家は20年ぶりに小さなやぐら炬燵を出しました。

そうだ、小豆が残っていました、お餅を買っておぜんざいを…アツアツを頂いて元気を出しますね。そんなこんなで 2月の「日常つれづれ」は雑多なお話しで終ります。

季節の変わり目です。くれぐれもお気を付けてお過し下さいませ。そしてお時間かございましたら、お遊びにお出かけ下さいませ。

道端に咲くすいせんです
2023年(令和5年)1月11日

明けましてお目出とうございます。
新年のご挨拶が遅くなりました。お正月の3ヶ日も無事過ごす事が出来ました事は「ー年が良き年になって欲しい…」との願いと共に、とても感謝しています。

「七草がゆ」も過ぎました。ふっくら、ゆったり土鍋で炊き上げた白いおかゆの中に七草の緑が映えて…春が近い事を告げてくれるのです。
お正月で疲れた胃を休め、季節を感じさせてくれる…先人達の自然感は素晴しいですね!いっぱい智恵を授けてくれますね!

そして1月…茶道の世界は初釜の頃です。
昨年12月の展示会の折、半泥子・仙鶴窯・藤村州ニ氏の作品の中にとってもいい…向附けがありました。隠やかなのに1ツ1ツ手の中に包むと、彼の力量が肌を通して伝わって来るのです。
作陶の試練の中で生まれる伝統の技だと思うと…尚、大切に使いたいとの思いにかられるのです。

 

向附けを拝見していると…思い出すのです。
私のお茶の先生が初釜やお茶事にお使いになる趣き深い向附けの事を…。

粉引の時もありました。西岡小十の唐津の事もありました。先生がとても懇意になさっていた丹波の石田陶春のお道具も、ひんぱんに使われていました。

私は、こう言う折は朝3時起きです。いそいで着物を身に付け、仕度をし、始発電車で向かうのです。先生がお作りになる懐石料理を側で学ばせて頂きながら…お手伝いをさせて頂くのです。

よく叱られました。「はい!気を付けます!!」この言葉をいつも念頭に…お稽古は私にとって 修業のようでした。
先生は懐石料理の達人でもあり、深い知識と造詣をお持ちの方でした。初釜も、お茶事も、懐石料理は…全て先生のお宅で作るのです。
たとえば…ごま豆腐の為のごまを、すり鉢で摺る事から始まるのです。

たくさん教わりましたが…鯛の身を昆布で締めた薄作りを美しく重ね、わさびを天に添え、白醤油と少々の酢を合わせたタしをかける…今も私がお客様を自宅にお迎えする折、真似をさせて頂いています、昔はなま物は茶席では使わなかったそうです。
アレンジを加えながら多くの事を、あくまで真似をさせて頂き、料理の巾を広げて来ました。

すべて片付けをし、帰路につくのは、夜中でした。家に帰って…くやしいのか…何がくやしいのか…知らない事が、出来ない事が情けないのか…
大泣きをしていました。

でも私の仕事柄、他の人達より、お茶のお道具には少しばかりは詳しいし、辛抱強い心も持っているので、特に目をかけて下さっている事は私に伝わりました。

こうして初釜や季節ごとのお茶事は、辛い心を抱えたまる終えるのが常でした。

1週間に1度の普段のお茶のお稽古は長い年月、1度も休んだ事はありませんでした。それも6時に店も閉め、夜7:30から12時近くまでのお稽古でした。

若かったですねぇ~…あの4畳半の世界は格別に大好きでした。

そして5年に一度…大阪・谷町の大きなお寺でお茶会とお花の会を催すのです。これが大仕事です。
前日は、弟子が総出でお寺の大掃除です。お花は「山村御流」。
お花も、お道具も運び込みます。

お茶会のお客様は約200人…。粗相があってはならず、4月の袷せの着物と帯は汗でぐったりでした。

そんなこんな思い出は昨日の様に懐しく思うのです。休カも気力も同時に持ち合わせていた頃の事です…ネ!

私を導いてくれた先生方が…そして、暮らしの中で出会う人達が、今の私の支えになってくれている事を、感謝と共に思うのです。

令和になって早くも5年目です。今年3月1日は花染40周年です。
私の人生…そのもののような40年を花染といっしょに走りました。

日本の文化や素敵なものを、私の出来る限りの力でお伝えしたい…皆様への心配りを忘れないでいたい…ひたむきに考えながらの花梁です。

平和を願い、心豊かな生き方をして欲しい。それが私の幸せでもあります。

お正月休みの間、新聞のテレビ欄を指でなぞりながら…目を凝らして探し…毎目のように藤沢周平原作のドラマを見ていました。
こんなにも美しい日本が…そして日本人の心に感動するのです。

自然が豊かであり、そこには人の誠と正義があります。外国の人達が日本人のその部分をチャントご覧下さっているからこそ…「日本が大好き!!」
と言って下さるのだと思うのです。

所作が美しい…言葉が美しい…そして人を思いやる心が美しい!!
これからの日本を背負う若い人が、こんなドラマを見てくれると嬉しいです。

そうそう…私の店のお若いお客様で、必ずご夫婦お2人でお見えになる方がいらっしやいますが…私が「これこれ…こうこうの話で…いいですョ!」とお見せする本を次々と読破して下さる奥様…。私が読む本は、かなり辛かったり重かったりするのですが、それを「大好きです!!」とおっしゃる奥様。今も2~3冊お持ち帰りになっています。

 

お読み下さった本は、私と気持を共有出来ますので、絆はより深くなり…お若い方に私を近づけてくれるのです。幸せなことです。

お年賀状も嬉しい便りです。
作品と言っても過音ではない、心のこもった素敵な人達の素敵な年賀状は、長い年月、私との関係を紡いでくれた宝物です。

今年も皆様への感謝の気持ち大切に、1ッ1ッ作品を育ててゆきたい…内なる私の力となり…しっかり前を何きたいと思うのです。

人としての弱さも…哀しさも…喜びも…別れも…いっぱい私の身にまとい「日常つれづれ」を書いて行きたいと思っています。どうぞおつき合い下さいませ。今年もよろしくお願い申し上げます。

道端でボケの花を見つけ、自転車を飛び降り写真にとりました。
ふっくら優しい…!春を見ぃ~つけた!!

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