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細江 義弘 岐阜県中津川
細江氏はご自身の郷里の近くの加子母に工房を持ち、地域や自然と生活する中で、機能性を重視するデザインではなく、木という素材を最大限に生かすことで、独創的な作品作りをしています。
彼の目で選ばれた木は、数年自然乾燥させ、さらに人工乾燥も施し、新しい生を吹き込んでいくのです。よく使う材料は、トチ、ニレ、セン、タモ、ナラ、クリ、ケヤキなど、国産の広葉樹。
仕上げは拭き漆(ふきうるし)、または天然オイル。
テーブル、椅子、食器棚、飾棚、座卓、リビングボード・・・から小品まで、どの作品からも堂々とした風格、頑丈で大らかなのびのびした感じが漂っています。
家具は使いやすくなくてはなりませんが、木は生きており、“かたち”を与えるには、十分、木の言い分を聞いて添ってやることだと言います。暴れる木もあれば、おとなしい木もあります。どう生かしてやるかを常に思案しているのです。
そして、無垢の木の家具は、作り手だけでなく、使い手が完成させるものだと感じます。何年か後に、手の油や傷痕、シミの跡をすべて包み込んで、アメ色に光り、家の空間に調和し、代々引き継がれていくことを生命としている気がするのです。
無垢の木の家具と暮らしていると、時折、木の弾ける音を耳にすることがあります。「ばぎっ、ばぎっ」と音を立てるのです。空気の乾燥の度合いや湿度やその時の状況に応じて、自然の動きに敏感な反応をします。緑の木が切られ死んだと思っても、木の自我は一層強く自然に順応しながら生きていると思うのです。
昔は、その地域で取れる木材で家を建て、建具を作り、道具を作ったのだと思います。自然を与えられ、木の命を与えられて暮らしていることを強く認識するのです。
無垢材を使用したオー ダーメイド家具 ☆注文方法(来店して打合せ)
置かれる家具の状況設定やお客様の価値観、素材、そして作り手自身の価値観、両者を取り合わせ、お話し合いの中でイメージを徐々に暮らしの中に生かせるよう、具体的に形にしてまいります。無垢の木の温もり、豊かさを実感していただけると思います。
細江さんと出会った若い日を懐かしく思い出します。
1984年、誰もが若くキラキラしていた頃でした。知人の紹介で、京都・花脊の奥・広河原に出かけました。3人の若い方々が協力して仕事を始めたばかりで、楽しいお付き合いがスタートしました。ハイキングがてら何度も出かけ、3人3様のお付き合いの中で、細江氏に的を絞っていきました。
その後、独立し、故郷に近い岐阜・加子母に工房を構え、人気作家へと感性を花開かせていかれました。
大作品、小品……、思えば大勢のお客様のお宅に家具をお作りさせて頂きました.。彼の作品の存在感はお人柄そのものでした。「百年、ニ百年を経て育った生命ある樹を人間が伐採して使わせて頂くのですから、丁寧に、大切に、何百年も使ってやってほしい……」と彼は言います。生き方そのものが作品の中に生き生きと満ちています。
ますます脱皮を続ける彼と共に店が歩めたことを宝物とし、本物を使うことの歓び、そして物作りの厳しさと素晴らしさ、楽しさを私に伝えてくださいます。
自然の変化に豊かな感情を持てる生活文化をこれからも大切に、暮らしに馴染む、心に響く仕事を共にできることを願っています。