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石飛勝久 島根県三刀屋町
李朝を愛してやまなかった柳宗悦から河井寛次郎、上田恒次、そして石飛勝久へ継がれてきた白磁。石飛勝久氏は、京都の陶芸家・上田恒次先生に長年にわたり師事された後、お生まれになった島根県雲南市に、昭和59年に築窯されました。
白の中から自在に溢れ出す豊かな白。艶やかな白。白磁は色や模様がない分だけ轆轤(ろくろ)によって造り上げられた「もの」の形の中に、「美」が存在するのではないでしょうか。壷や大鉢、大皿から中皿、小皿、湯のみ、コーヒーカップまで、幅広く作陶する姿勢は彼の信念であり、長い年月に及ぶ経験からくる重みを感じるのです。
三刀屋という自然に恵まれた中で、自然の営みの中で、自然より美しいものを作ろうとなさっているのだと思うのです。陶芸というものが、いかに風土に即した工芸であるかという事がしきりに思われるのです。
呉須・鉄・辰砂・練上げの多彩な技法の中でも、上田恒次先生も得意となさった練上げの作品は、石飛先生のもう1つの特長でもあります。練上げとは、ニ色以上の粘土を練り合わせて縞模様などを表す技法で、うつわの裏と表が同じ模様で飾られるという方法です。歴史と現代が一人の作家の中で結びつき、融合し、結晶する時、そこに「伝統」は繋がっていくと思うのです。
日本民芸館展、日本陶芸展、日本伝統工芸展など数々受賞され、河井寛次郎、上田恒次から受け継がれた作品は、今後も一段と充実なさっていかれると確信できます。