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佐藤 火圭 (群馬県群馬郡)
群馬県の倉渕村の、回りを山で囲まれた緑の中に彼の窯はあります。長いおつき合いの中で、何度となく訪れましたが、半地上式穴窯があり、窯を焚く松の大木が、所狭しと転がしてある風景は、何時たずねても、日頃の喧騒(けんそう)を忘れさせてくれる心地良い場所です。ゆっくりとした時間が流れていき、命が救われる思いがします。
しかし、いったん窯焚となると、実に豪快な工程です。1300℃の燃えさかる炎と熱と黒煙の戦場に変わるのです。4昼夜酸欠状態で焼き、最後に追い込みをかけ、焚き口をふさいで空気をしゃ断する。このいぶしを経て、須恵器が生まれるのです。無釉の作品は硬くしまり、渋くモダンな黒い器となるのです。
作品は作者と一体のものだと思います。個性が作品に表れます。自己主張が出すぎないで料理にも花にも調和する。物を入れて生き生きとしてくる器。使いたくなる器。しかし己をなくさない。…そこには、中世後半に滅んでしまった古代の器を現代によみがえらせたいという、熱い想いがあります。
又、須恵器と並んで、みごとな灰被りの作品、そして、青白細の作品も手がけています。