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日常つれづれ(2021年)
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2021年
2021年(令和3年)12月2日
紅葉も、そろそろ終りですね。京都は、とんでもなく多い観光客で溢れていました。一気に人々が動き始めると…それはそれで心配です。 しかし、11月の京都は、本当に美しい…急激に寒さが訪れたからでしょうか…赤い色が際だって、より赤く感じられました。以前の様に、しっとりとした京都ではなくなりましたが…。 コロナも、少しばかり静かにしていてくれていると思っていましたのに、再び心配の種が出て来ましたね。 朝は、暖かい太陽を体いっぱい浴びる事から始まります。この所、夜明け前の東の空の光景に感動させてもらう朝を過ごしています。少しずつ明けてゆく…あかね色に染まる地球を肌で感じます。 そんな11月。瀬戸内寂聴さんの訃報が突然入ってきました。 「かの子撩乱」は、彼女の作品の中では、私の好きな本の1冊だったと思います。岡本かのこ…岡本太郎氏のお母様の恋愛です。 本箱を探せば出て来ると思いますので、この機会に、もう一度読んで見るのも良いかナァ〜と考えています。セピア色・文字は小さいし…さてさて…。 いみじくも、寂聴さんの死をもって、私の中でムクムクと芽生えてしまった、作家・宮尾登美子氏。 彼女が亡くなった時「ひっそりと…。」表沙汰にはしない…と言う感触で受け取りました。メディアとは一線を画していた様に思います。書かれた作品が彼女だったのです。 自らの幼少期・思春期を『櫂』で書き『朱夏』で、ご自身の中国からの引き揚げを書き『仁淀川』で高知を出る…もちろん高知を出られた後に書かれた作品です。 『序の舞』で上村松園の画家としての生涯に心を震わせ…朝日新聞連載の『きのね』を毎日、首を長くして待ち、毎日新聞連載の『蔵』を待ちこがれ… 彼女の謎に満ちた人生を、ずっとずっと知りたい…と思っていましたが、数年前、お亡くなりになった事を知った時、かなりショックを受けました。それは今も私の中でくすぶり続けているのです。 メディアにも、ほとんど登場する事なく厳しく生きたであろう宮尾登美子氏を、その内、時間があれば勉強出来れば嬉しいと思っているのです。 こんな事を書きながら遠く過去を思い出し、しばし絶句してしまうのです。 今月の「日常つれづれ」は、先月からの続きで「京都ぎらい」「京女の嘘」井上章一著のウィットに富んだ、おもしろいお話を書く予定…としていましたが、重くなった今の気持ちでは書きたくないので、又、その内…と致します。 12月。今年も終りの残り1ヶ月です。 廣内俊之 作陶展
2021年12月7日(火)~12月18日(土) 10:30~17:00 12日(日)・13日(月)休み 美味しいご飯が食べたい…。 もうすぐお正月ですね。この1ヶ月は、またたく間に過ぎて行きそうです。大きな節目を前に、今年を振り返ります。出来た事、出来なかった事… 赤地健・径先生の干支(寅)も届きました。かっこ良いですね!! たくさんの方々にご厚情を寄せて頂いた1年でした。 これからも、仕事を精いっぱい…丁寧な仕事をさせて頂く事が出来ますれば、こんな嬉しい事はありません。 裏庭の万両の実が赤く
色づいて来ました。 |
2021年(令和3年)11月5日
朝早く…残してしまった仕事を片づけに店へ向う道程。まだ朝日が昇る前の東の空。冷たく澄んだ空気と、赤く染まる空を前方に見ながら走る自転車。金木犀の香りが漂う中を走る爽快な朝です。 1週間、そして1ヶ月…秋も深まり…冬へ向けて刻々と時を刻んでいます。 9月は植物園。10初頭は哲学の道。 そして秋晴れの10/24(日)ブラブラ街歩きです。さすがに人混みの中心へは行きたくないですね~。 いつも行列ができていて…敬遠していた店へ、今回はタイミング良く昼食に入りました。小籠包が、とても美味しく…ちょっとメッケ物でした。 京都は、三条通りを歩くだけでも、数百年の老舗が点在している事にも感心してしまうのです。 古いものと、新しいものが同居する誇り高い町だと思うのです。 5〜6年前に出版された本ですが、再び読み返してみると、あまりに的を得ていて楽しいので…次回12月「日常つれづれ」に続けて見たいと思います。 街を散策しながら、移り行く季節を実感します。お花屋さんで売られている花にも、果物・野菜…店頭のものが変化しています。 手書きの「花染通信」を書くにあたって、季節の風物などを、小さなカットとして入れているのですが、高濱虚子編(改訂版)「季寄せ」と言う小さな冊子を開け、季節を確かめます。 1月〜12月…そこに書かれている季語を参考にさせてもらっていますが、小さな冊子の中は、美しい日本の情景で溢れているのです。ちなみに、10月「花染通信」は、どんぐりでした。 「花染通信」を書くたび、ついつい読み入ってしまうのです。こんな日常の暮らしが、とても大切だと思うのです。 12月は、もうすぐ目の前です。カレンダーや干支や…そろそろお正月の準備の頃ですね。 店を始めてしばらくした頃、富山の版元からお取り寄せした事があるのですが、さすが消耗品としては高額で、その年以後はお取り寄せは出来ていないのです。 あまりの美しさに驚き、とうとう 使用しないで大切に持っています。 NHK「日曜美術館」の番組の前、わずか5分間…8時55分。沢村貞子さんが、丁寧に暮らした日々のお料理の番組があるのですが、そのお料理のしシピを綴った冊子の表紙に、そのカレンダーが使用されているのです。 豊かに暮らす日々が、そこかしこから忍ばれ、毎週見ています。お料理の腕、そして設えに感服してしまうのです。 優しい息づかいが聞こえてくるのです。お辛い事も、いっぱいおありだったはずなのに…。優しさと…弱さ・儚なさ、もろさは、似ていると思うのです。 年を重ねると、過ぎし日々か重く感じられる時もあります。 ★高橋正治さんの鍛鉄の仕事の展示会も10/30(土)で終りました。彼の「あかり」は2Fの部屋が普段とは異り、何もかもが美しく輝き、良い分囲気を作って下さいました。 ★12月は「廣内俊之作陶展」を企画しています。 これから気ぜわしくなりますね。お正月にむかって花染は準備をして参ります。 風が冷たくなり、秋の気配が身を包み込むようになりました。私が家路につく頃は、そろそろ街は暮れ色になります。尚、ちょっぴり感傷的になってしまいます。 佐藤けい 作 穴窯焼成・灰被り 径30 高21 |
2021年(会和3年)10月1日
夏の間、お花が少なかったからなのでしょうか、ここへ来て、秋風が吹き始めると、一斉に秋の花が咲き始めました。 萩の花で有名な「梨木神社」別名「萩の宮」とも呼ばれているそうですが、京都御所のすぐ北側にあります。数年前に、萩の花の咲く頃、訪ねて行った時の事を突然思い出しました。小じんまりした、とても思い出に残る神社だったと、記憶しています。 何もかも異状だと言いながら、それに慣れ、そんなものだと考える様になっている自分を反省しています。 先々週くらいでしたか…NHK・BSで「GEO JAPAN」の1時間30分番組に、我を忘れて没入してしまいました。 8月・9月は展示会を休ませて頂きました。 高橋正治 鍛鉄の仕事
2021.10.21〔木〕~10.30〔土〕 10:30~17:00 24日〔日〕・25日〔月〕休み 無機質とも思える鉄の仕事が、こんなに姜しいものだとは…。 インスタグラムを始めて2ヶ月です。先生方、作家の方々の仕事を知って欲しいと、大切に大切に努力を惜しまず写真を撮り投稿させて頂いています。作家が作品にかけた壮大な時間と愛しむ心を何如にすればお伝え出来るのか…添える文章にも心を砕いています。 日本列島を西へ東へ仕事をさせて頂いた私の時間を見つめ直しています。そしてそれは作品と共に成長させてもらった数十年と、いみじくも向き合う事になったのです。 ご覧頂けるのが、何よりの励みです。時々、お客様にお声をかけて頂きます。「インスタがどんどん上がっているので、いても立ってもいられなくて花染へ来た…。」とおっしゃって下さるお客様。本当にありがとうございます。 話は変わります。 私も昔、小学校5年生の夏休み、父と一緒にバスで一周したのです。お寺の宿坊に泊まるツアーでした。4〜5泊した記憶があります。 まだまだ彼の旅は続く事でしょう。彼女から報告が入るのを楽しみにしているのです。 秋の日は「つるべ落し」と言うように、どんどん短くなって来ました。店からの帰り道、めっきり秋めいて来た空を見上げ、雲の姿が美しい…と 自粛が続くと、どこへも出かけられず、何にも出会う事もなく、発想が貧困になります。10月、本格的な秋を迎え、より楽しい、より美味しい事を考えたいですね。 柴田雅章作
スリップウェアー花入 小さな庭にやっと咲いた「ほととぎす」 |
2021年(令和3年) 9月6日
長雨に泣き、日本中が苦しんだ8月でした。 オリンピックが終り、高校野球が始まろうとしたその時。 開会式の「栄冠は君に輝く」をアカペラで歌う山崎育三郎さんの清潔な姿に、聞き惚れてしまいました。 最近のNHK・朝ドラの中でも「エール」が大好きでした。古関裕而氏の偉大なる才能、功績をほとんど存じ上げなかった事…。私達の世代の心に、そして記憶に残る数々の曲が、彼の作曲であった事に驚いたのです。 私が育った四国は、昔から高校野球が盛んでした。強豪校揃いでしたので、ごくごく身近に、おじさん達、老若男女も熱狂したのです。高校時代は予選の応援にかり出され、真っ赤に肌が焼けるのも、いとわず…熱い熱い思い出です。 そして花染を始めた頃は、夏の甲子園へ行っていました。丁度、店の夏休みが、準々決勝、準決勝の日と重なるのです。アルプススタンド、内野席と…甲子園名物、かち割りの氷を食べながらの観戦です。準々決勝などは、今と違って4試合。8時〜6時過ぎる頃まで観戦するのです…何とも若いですねぇ〜。 今でも野球は大好きです。オリンピックも、数々の名場面に感動を頂きましたが、日本×アメリカ戦は息をのむ圧巻でした。…勝って良かった…!! 2年ぶりの高校野球の入場行進は、若さが溢れ、私達を引きつけたのです。 「野球は、9回2アウトから〜!」人生に置きかえると。とても素敵です。 平和でなくては、前へ進みません。 戦後76年を経ても、尚、次々新たな真実が発覚するのです。 憤り、悲しみ…それを抱えて生きる人達の苦悩…もっともっと知りたい…と思い、このページにも長年にわたり、つたない文章で書いて来ました。「戦争の悪を」「人類の悪を」…今年は、辛くて辛くて重い濁ったものが、ずっしりと胸に詰まってしまいました。そして、世界を戦争へ向かわせた一部の人達の思惑に、決定的に打ちのめされてしまったのです。 そうこうすると、アフガニスタン問題が勃発し、どこまで続く…とやり切れない光景を目のあたりにするのです。 アフガニスタンのオールドキリムも、アフガン鉢も、その他の工芸品も、業者の方を介して花染は、たくさんのお仕事をさせて頂きました。 しかしこの10年は、まったく入って来なくなってしまっていました。すでにアフガニスタンは、厳しい情勢下に置かれていたのだと思います。 きっと子供達のつぶらな大きな瞳も、彫りの深い美しい女性の瞳も輝いていた事でしょう。 ひっそりと暮らしながら、より苦しくなるのです。 そんな本に魅せられてしまう私の心の内にも、さぐりを入れたいものです。 8月に入って Instagramを始めました。以前は、人様が写真を撮りに来て下さって投稿してくれていたのですが、一念発起、頑張ってみようと前向きです。 深呼吸が必要です。9月は季節の変わり日…。どうぞお大切になさって下さいませ。花染は、涼しくして少し距離を取りながら楽しくお話をしたいと思っています。心よりお待ち申し上げております。 舩木倭帆作 くもの巣皿
鶴屋吉信 本くずこしあん |
2021年(令和3年) 8月2日
さるすべりの赤い花が誇らしく咲き、蝉時雨の降り注ぐ中を、自転車で店へ向います。蝉は元気だナァ…さるすべりは夏が好きなのだナァ…と「ボーツ」と毎年こんな夏をくり過すのですが、昨年 、今年とマスクをかけ息苦しさを感じながら受ける風は全く、心地良くないです。 波乱含みの中で開催したオリンピックは、今まさに佳境をむかえています。興味ある競技もチャンネルを変えながら夜遅くまでついつい見てしまいます。 「オリンピックを開催して下さって感謝している!!」と涙と笑顔で語る姿は、さまざまな組織や政治のおもわくや利害が全く及ばない世界を醸し出しています。 いろいろの事が中止になる中で、「何でオリンピックだけが…」と捉えるか…「せめてオリンピックだけは…」と考え、協力し、応援するのか…。物事には裏と表があると思うのです。 祇園祭も昨年はほとんどの行事が中止になりましたが、今年は可能な限りの中で鉾が組まれたり、「ちまき」も売られたりしました。 何事も視点を変えてみると、殊の外楽しくなります。 私共の裏の小さな庭の事は、この頁でよく話題にするのですが、春を過ぎた頃から、除虫菊の蚊取り線香を焚くのが常でした 。一昨年あたりからコマーシャルを見て「虫コナーズ」を吊るす様にしたのです。塀に囲まれた小さな庭なので 、本当に虫が来ないのです。そして、今年「ハタ」と気付いたのですが、メダカの石臼に、蜂どもが水を飲みに来ていたのです が、それすら来なくなったのです。何だかつまらないと思うと同時に人体に影響はないものか…心配になりました。 時々思いつくと、蚊取り線香を焚くのです 。ちょっと可笑しいでしようか。 昔から蚊取り線香と共に暑い夏の風物話といえば「冷たいお素麺」ですね。我家は毎年、知人から半生のものをたくさん頂くのです。もっちりと美味しく幸せが広がります。それが冷蔵庫に入っている間は安心です。必要以上に疲れて店から帰った日には、それが待ってくれているのです。ちょっとした副菜を作り、ホッと一息、食卓につきます。ぬか床もうまくいっているので、きゅうり、なすのお漬け物があれば鬼に金棒。何と世の中、うまくいっているのでしょう!! ★お盆休みまで、あと少しです 。 コロナ禍の中で仕事におわれた1年の前半が過ぎました。 ガラスは、西川孝次作
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2021年(令和3年) 7月3日
梅雨でもあり、そうでもないような6月でした。関西は特別かもしれませんが、時々雷は鳴り、多少の雨は降るものの、梅雨は明けてしまったような錯覚を覚えてしまいました。しかしこの湿り気を帯びた風と適度な気温によって草木は元気に育ち、生き生きとしているのです。日本に四季がある事は幸せです。 相変わらず、日々、小さな暮らしをしています。休日は自転車で走る暮らしです。この所、太陽が放射する光と熱が、ただものではなくなりましたので、この自転車生活も無理になりそうです。 島本町と大山崎町の丁度境目に油の神様として親しまれている「離宮八幡宮」があるのですが、何度も当たり前のように、ずっとずっと普通に通り過ぎていたのですが、先月、久しぶりに境内に入りました。 ここは西国と東国への油の関所のようなものだったのだと思います。斎藤道三は、ここで油を商い成り上がったのだと…長い年月、私の頭にすり込まれているのです。ところが知ってみると深い深い!! 「離宮八幡宮」は油発祥の地であり、油(えごま)の製造と販売の中心として栄え、平安時代~室町時代には「油座」として専売特許をもち諸国の油商人は「離宮八幡宮」の許状なしでは油を扱う事は出来ず、壮大な社殿を構え、栄華を極めたとの事です。 安土桃山時代、信長の楽市楽座の政策で打撃を受け、さらに菜種油が大量に生産されるようになり市場を奪われ衰退して行ったのだそうです。その後、幕末、ここが長州藩駐屯所となり、幕府・薩摩連合軍側の砲撃にあい、水無瀬川~大山崎・円明寺に及ぶ広大な神領は、焼け野原となったのです。 そしてその後、明治に入り、東海道本線の京都・大阪間の開通により、その社地の大半が用地となり大幅に縮小されてしまったのです。ほんの一部分が現在に残されているのみなのです。(離宮八幡宮の資料より引用) 大山崎町側、この離宮のそばに「三笑亭」という老舗の天ぷらの店があるのですが、この「油座」の歴史と関係があるのでしょうかネ。 島本町と言う土地の歴史も、かつて後鳥羽上皇の荘園だったこともあり…私達は、いつも「島本町は大阪ではない!!」とさけんでいます。三島郡という小さな独立した町であって欲しいのです。 島本町は不思議なくらい、どこを掘っても水が溢れ出るのです。今、JR島本駅より山側の開発工事が否応なく進んでいますが、ごうごうと水が吹き出しているのです。 企業・サントリー山崎工場が、この溢れる良質の水資源を…島本町の豊かな水を無制限に使用しているのです。名酒「山崎」が生まれるのです。 話は変わります。先月6月の「日常つれづれ」に「月夜の森の梟」小池真理子の話を書きましたが、とうとう50回6月19日(土)最終回でした。 2人の日常を、とつとつと語る心の内…深く読むと涙が…。半身として残されることとなった喪失の哀しみは、私たちの胸深く重く沈殿するのです。人生折々、フッとたたずみ行き先を見失ってしまう時、胸に去来する、そして虚しく吹く風に戸惑いを覚えることがあります。過去の記憶がよみがえり途方にくれるのです。 6月の「細江義弘 木の仕事展」 7月は西川孝次さんの吹きガラスの仕事の展示会です。 西川孝次 吹きガラスの仕事展
2021・7・6〔火〕~7・17〔土〕 10:30~17:00 11日〔日〕・12日〔月〕休み 西川孝次さんとの仕事が再びやって来ました。光と風をグラスに入れて「カランコロン」と響く氷の音に耳を澄ます。静かに過ごす、かけがえのない日常に感謝するのです。 私が尊敬して止まない「舩木倭帆先生」の言葉。「普段着のガラス」より引用 店の中で春から育て始めた「パキラ」が想像以上に元気に大きくなりました。小さな事も嬉しくて日々の楽しみです。 50~60cくらいで買って、
2ヶ月でゆうに100cを超えました。 |
2021年(令和3年) 6月6日
今年の梅雨入りのなんと早いこと…。5月の雨の多さに驚きはしたものの、雨に濡れる新緑は、より美しさを増し、欅や桜の街路樹も一段とたくましく成長したかに感じます。 私共の小さな庭の沙羅の木の若葉が風にそよぐ風情に、毎日心癒され眺めてしまいます。 梅雨の晴れ間の日の光、溢れる光はとてもありがたい存在です。 こんなにも自然は輝いているのに…! 嘆いてばかりいても仕方がありません。日本に四季がある…。45億年の地球の歴史の中で、この日本列島は奇跡の列島なのです。そんな遥かなるスケールの中で、小さく暮らし、小さな幸せを見つける…とても辛い事ではありますね。私の5月も小さく暮らす日々でした。 休みの日には、この新緑の中をそよ吹く風の中を自転車で大山崎までお昼ごはんを食べに行くのです。このカフェにはテラスがあるので安心です。テラス席を予約し、小さな幸せをいただくのです。 又、ある休日には、ちょっと遠くのスーパーへ自転車で買い出しに行くのです。 島本町の現況では、理不尽ながら開発が進むのを止める事ができません。 小鳥も昆虫も水辺の生物も、生きとし生けるものが生命を継ぐ貴重な場所でもあります。 そして悩みに悩んだ上で予定通り、6月の展示会をする事にいたしました。 細江義弘 木の仕事展
2021・6・8〔火〕~6・19〔土〕 10:30~17:30 13日〔日〕・14日〔月〕休み 無垢の木と共に暮らす幸せを細江さんから頂くようになって38年。たくさんの家具や、生活の道具をお作りいただきました。それは、かけがえのない自然の恵の大切さを教えていただいた年月でもありました。 小さな小さな街での私の仕事ではありますが、ご遠方から足をお運びくださる方々、もちろん近くの花染を愛してくださるお客様、そして物作りをしてくださる作家の人達…たくさんのお力添えを頂きながら平常心を失わないで努力をしていきたいと思うのです。 柳宗悦の言葉「モノは用いられ美しく、美しくなるが故に人は更にそれを用いる」私の大好きな言葉です。 本格的な暑い季節がやって来ます。ザルそば、お素麺が美味しく思える日本の夏です。 人の心に内在する力を信じ、今しばらくの困難を乗り越えたいものですね…。 今月の「日常つれづれ」は短く終わります。 お客様からあじさいの花を頂きました。
中村真紀作 吹きガラス花入。 |
2021年(令和3年) 5月8日
優しく穏やかな晩春5月。本来ならば爽やかな風に誘われてお出かけになられるご予定でしたでしょうね。緑の風に吹かれ泳ぐ鯉のぼりも、勢いをなくしている様にみえました。 懐に抱かれ、心安らかにさせていただいた1日を過ごしたのです。こんなにも身近にあることにも感謝です。 話は変わりますが…。 毎週読ませていただいているのに、何気なくフッと「夫」を亡くしてしまった彼女の悲しみが妙に心に残ってしまったのです。 今、浅田次郎の本を数冊、手元に置き、このコロナ禍の中、読もうと思っているので…それと並行することにします。 素敵なチェスト、手もと箪笥を作ってもらいました。お膳、トレー、茶托、額、椅子など小作品です。私も楽しみにしています。 それからもう一ツ楽しみにしている事があります。「麗子像」で知られる洋画家・岸田劉生の作品42点を京都国立美術館がまとめて収蔵した。という記事を新聞紙上で目にしました。 人物画や静物画の代表作を含む一大コレクションに、美術館側は「劉生のこれほどの作品群がまとまって動くなんて想像もしなかった。」と喜びを語っていました。 来年1月から新収蔵記念「岸田劉生と森村・松方コレクション」展としてお披露目される…との事です。ワクワクしますね。その頃にはきっと平穏な日々が訪れている事でしょう。 人々の暮らしから笑顔が少なくなっている…と感じるのは、私だけでしょうか。マスクで表情が見えないことが一因でしょうか。 長く待ちわびた赤地径さんのマグカップ・小丼・お茶わんいろいろ・色花文長角小皿・梅文小鉢・うさぎ箸置など器が入ってきました。 作品は、とてもお洒落な上、何故か、この明るい色調にはまってしまうのです。 ここしばらくは地方の作家の所へ行く事が出来ませんが、一ツ一ツ丁寧に仕事に取り組んでゆきたいと思っております。 どうぞお健やかに日々をお過ごしになられます様、そして小さな事に元気をもらえる暮らしを心より願っております。
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2021年(令和3年) 4月1日
例年にない記録的な速さでやってきた桜。3月20日前に島本町では開花を始めました。春の日の光の中で、青い空の下で…これからしばらく春爛漫を楽しむことが出来るのです。 写真はまさに満開の頃に我が家の近場で撮りました。見事な桜並木です。 毎朝、店へ来て裏庭とメダカを気遣う事から花染の仕事は始まりますが、私の心は瑞々しさを失っていることに、自身驚いています。 二葉葵は赤紫の小さな花を付け、山吹きも、ひなぎくげしも、山ほととぎすも…それぞれが生気で溢れ、瑞々しいのです。それをちょっと皮肉に感じてしまうのです。いけませんねぇ~。 もうすぐ竹の子です。島本から京都、この西山のものは絶品なのです。そろそろ、いつもの農家の方からお知らせが来る頃でしょうか…。 そして少しずつ熱を帯びてきた島本町・町長・町議会議員選挙。 日本中に小さな町はたくさんあると思うのですが、こんな基本的な生命の営みが途絶えてしまう政治とは…。そして社会的責任とは…と思うのです。 小さな小さなすみれの話です。 今春も、健気に芽を出し濃い紫色の小さな花を付けました。植物を学問的に学んだ事はないのですが、きっと原種に違いない…と自分で納得しています。 4月9日(火)~4月17日(土) ・11日(日) ・12日(月)定休日 山ぶどうは、大自然に育くまれ自生するものなので、それぞれ個性が異なります。細かく編まれた上質のもの、野趣味溢れるもの、素朴で大きいかご…チョット小ぶりの可愛いもの…それぞれ魅力があります。職人さん達の丁寧な仕事をご覧いただけると嬉しいです。 夏に先行して、松村学さんの吹きガラスの作品も入ってきました。何かとウツウツと暮らしている間に、ガラスがキラキラ輝く季節になっています。 島本町の自然環境が、どんどん過酷になる中で、うぐいすの鳴く声を聞きました。大切な大切な宝物です。
新しいHPが出来上がりました。超アナログ人間の私を優しく支えてくださったプロの達人の方々のおかげです。心から感謝致しております。
まだまだ改良の余地はあるのですが、どうぞ末永くご覧下さいます様、よろしくお願い申し上げます。 |
2021年(令和3)3月3日
寒暖差があまりに激しく、その上自粛、自粛と気持ちが滅入り、心が揺れ動いていました。そして嬉しい3月。明るい太陽が降り注ぎ、人間も植物も、森羅万象すべてが息を吹き返し喜び目覚めます。 このコロナ禍の中、昨年1年間、この小さな庭は、折につけ私を慰めてくれました。昨年、自粛の中4月には若かった芽はしっかり形を整え、5〜6月、緑は益々美しく、梅雨の雨に濡れる風情に思わず見とれ・・・。秋には紅葉・・・、そして万両の赤い実。 そして春3月。私どもの店は3月1日38周年。もうすでに39年目に入りました。又、コツコツ努力を惜しまない・・・、そして確実に良い年を重ねていく事が出来れば嬉しいと思います。 先月2月21日、とても暖かい日曜日でした。知り合いのご夫婦が「京都水彩画展」へ出品なさっていて、その作品を拝見に京都まで、出かけました。久々のお出かけでした。人混みを避ける為、朝一番に「京都市京セラ美術館」に飛び込みました。たくさんの作品を拝見しながらお2人の作品を見つけ・・・。お2人は長い年月、絵画に親しみ努力を続けたのです。他の出展者の方々も「絵を描く」と言う事がお好きで、打ち込んできたであろう足跡が見受けられ、熱いものを頂いたのです。努力こそ素晴らしいですね。 久しぶりの岡崎かいわい「京都国立近代美術館」の「分離派建築界100年」の企画展も見る事にしました。 「建築は芸術か!!」明治以後、大正、昭和を彩った先人達の意識の高さ、教養の深さは、スケールが違うのです。 残念な事件が1ツ。 私の連れ合いが、いつの頃からか、社長と奥様と親しくさせて頂き、私も時に訪れる場所でした。社長も奥様もちょうど在店していらして、ご挨拶出来たのが、何よりではありましたが残念です。 山あり谷あり、人の歴史は、平坦に過ぎる事はないのでしょう。 何だか、この世の中の空気が重いですね。 3月に入ると日本中が桜の花の開花を待ちわびるようになります。河津桜など・・・、各地から早咲きの花の便りが届くと、心も浮き立ちます。儚げで、それでいて華やかで、日本の原風景です。 日々、季節を体感させてくれる水田が広がっていました。 花染のホームページを「スマホ対応」に変更する仕事を進めています。その中で、「日常つれづれ」の長い文章は難しいのでは・・・との事情により、これから先、私の思いを短くまとめる必要があります。 時代の流れについていけず、右往左往する日々です。私のような超アナログ人間は、耐え難い思いを募らせています。 山ぶとう手提げかご展
2021・4・6〔火〕~4・17〔土〕 10:30~17:30 11日〔日〕・12日〔月〕休み 津軽地方の山野に自生する山ぶどう。 職人さん達の手によって丁寧に編まれた仕事は美しいのです。 その手提げかごを私達は身近なものとして使わせて頂いています。 そして、それは、長い年月をかけ、ますます真価を表すのです。 どうぞ、この艶と風格を味わってくださいませ。お待ちしています。 |
2021年(令和3)2月1日
日本が世界がコロナ禍という混乱の中で1月を過ごし、2月に入りました。 そろそろ梅の便りも届きます。節分が終われば、おひな様。 春を待つ詩情豊かな美しい光景が目に浮かびます。この半世紀で人の心情と言うものがすっかり変化してしまいました。春一1番、こんな詩を口ずさんでしまいます。10年程前に童謡の小さな本を買った事があります。 詩情豊かな日本人ならではの美しい言葉で溢れているのです。私は、この小冊子の中の「ふるさと」が大好きなのです。言い知れぬ郷愁を覚え、涙が溢れそうになるのです。 春には野でつくしを取り、小川でメダカをすくい...春の光を幼い心と体でいっぱいに受けるのです。 昨年秋、いつもお世話になる美容院で、月刊誌をめくっていました。「家庭画報」だったか「ミセス」だったかもしれないし、違ったかもしれませんが、あるページをめくった瞬間、美しいフォルムの漆のスプーンの写真に釘付けになったのです。「美しいナァ~!」と思い、添えられている文章を読み進みました。たしか代金20,000円位だったと思うのですが...。作者の名前も記憶していないのです。記憶が全て曖昧で申し訳ありません。 その中に「谷口吏さん」の名前が突然、目に取り込んできました。 美しきスプーンは、お客様の支持も得たのです。使う程に本物は真価を表すのです。手に馴染み、唇に馴染み、器になじむ...そんな上質の一品でした。 我家でも30数年使用させて頂いています。大切に大切に...、しかし普段遣いです。ザラザラした土物の器には使いません。土物の器でも釉薬がポッテリ掛けられたもの限定です。磁器には大丈夫です。どれだけ日々の食卓を豊かにしてくれたことか...。とても感謝しています。 「お家で過ごす時間を楽しく...!」こんな事を考えながら、丁寧に過ごそうと努力しています。私の日々は超アナログの暮らしです。 そんなこんなと自分の心を奮い立たせるのですが...弱い心も見えて来ます。毎朝、自転車で5〜6分の距離を店へ通います。朝をは真正面に、眩いばかりの太陽を体に感じながら走るのです。 2月の展示会は休ませていただきますが、3月、4月も様子を見ながらの展示会になります。 |
2021年(令和3)1月12日
初日の出! 何と美しい光景でしょう。思わず手を合わせたくなります。古代人も、そして地球上、だれしもが、均等に拝むことが出来るのです。 昨年は心も落ち着きをなくし、一年がまたたく間に過ぎさった気がします。落ち着きのない中で、感性を言葉に綴る事にも苦しみました。心の平穏あってこその「日常つれづれ」でもあるのです。 年末、とても嬉しい事もありました。日本の花を慈しみ、育てる素敵な方からたくさんのお花を頂きました。 お正月早々、我が家のリビングで、私を家族を幸せにしてくれたのです。その美しき佇まいは、今年一年を明るく彩ってくれるものであって欲しいと願う、とても大切なものでした。 帰り道、「花びら餅」を買い、せめてもの新春の味わいです。 そうこうしている内に新しい年がもうすでに12日。 展示会は、1月、2月、3月と用意していますが、現状を追いながら、様子を見ながらになります。出来る限りの対策は取り、検温、フェイスガードも用意し、ゆっくりやっていこうと思っています。 皆様も、どうぞ気持ちを引き立て、暮らしに小さな喜びを見つけながら、お健やかであります様・・・。 |