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日常つれづれ(2022年)
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2022年
2022年(令和4年)12月2日
11月が過ぎ、12月ともなると季節は確実に冬の様相を帯びて来ます。紅葉狩りでにぎわった観光地も、そろそろ落ち着く頃でしょう。 店へ行く道程の景色も、少しずつ変化してゆきます。桜並木の紅葉の一葉一葉が、大量の落葉が地面を紅く染め、シーズンの終りを告げるのです。 私も、ちょっと遅目の秋ではありましたが観光地を避けて11月中旬、京都府立植物園へ出かけました。weekdayの静かなこの場所は、別世界なのです。大空の下、心地良い空気で胸をいっぱいにして、ただただブラブラ歩きです。 黄色や紅色に色付いた木の下で花婿さん花嫁さんが結婚の前撮りをしていたり、広場では子供達が先生と小さなピクニックをしていたり… 比較的暖かい日が多かった11月。晴れた日には早朝、朝日をいっぱい浴びながら、自宅周辺をウォーキングです。ウォーキングと言ってもお散歩です。 ゆる〜い気持ちで30分余り…時にはもう少し…。お陽様と朝の空気に包まれると不思識と隠やかな気持ちになるのです。 公私共に忙しすぎた11月を過ごし、頭はポカンと空白になり脳が悲鳴を上げているのを自覚するのは辛い事です。 気持ちを切りかえ、リフレッシュの意味も兼ねて、いつもの西日向町の美容室にお世話になりました。 この阪急電車京都線…この沿線は桜の木が多く、春には薄桃色の花が…秋には紅葉が…とても美しい眺めなのです。 ところが、電車の中の乗客のほぼ9割…スマホを手に移りゆく車窓には無関心なのです。西の山に広がる絨毯を敷きつめた様な光景も見ていないし…。とてもとても悲しいことです。 島本・水無瀬駅を過ぎ―大山崎―長岡一桂一と広がる景色、空の色、近くの山、遠くに霞む山々。山々には時雨が…遠くの山には雲が雪が…。 無心に眺める京都までの数十分は、 日本に暮らして良かったと思わせてくれる美しい日常があるのです。その日常をもっと大切にして欲しい…と。 そして私のささやかな小さなお話し…。 話は変わります。 お若い方が…そして従来の方も、足か遠のいていた方も…嬉しいですね。 12月…。お正月の仕度の展示会です。 もうすぐお正月…心地よい響きです。一年の内でもとても大切な行事だと思っています。 お忙しい中、ちょっとお時間をお作り頂けますと嬉しいです。 1ヶ月は、またたく間に過ぎてしまいそうです。 年内は 12月29日(木)まで
新年は 1月5日(木)からです。 これからも、どうぞお力添え頂けます様、よろしくお願い申し上げます。 |
2022年(令和4年)11月11日
美しく木々が色づく秋。11月に入ると流石に風も冷たくなりましたね。そして島本の空はどこまでも青く、空気も澄みわたり、一層、山の稜線を際立たせています。子供の頃みた、どこか懐しい田舎町の…あの日の光景が広がっています。 11月は、とても忙しく頭の回線がからまってしまっています。仕事の段取りを間違っては大変な事になる…と身を引き締めて日々を過ごしています。 先日11月5日(土)・11月6(日)島本「古本さんぽ」が開催されました。コロナ禍で中断されましたが、再開です。2014年スタートした古本市…花染も第1回から参加させて頂いています。 8月の夏休み…身を切る思いで、この古本市の為、本の整理をしたのです。 1冊50円というお値段の付け方も良かったのか、たくさん重ねていた本は見事に気持ち良く減っていきました。 楽しく語らいながら、出会えた事を喜びあえる幸せな2日間でした。お天気にも恵まれ…清々しさが私の中に残ったのです。 この夏、8月9月と異状に疲れてしまって、私もいよいよアウトかナァ〜と弱気になっていました。色々問題を抱えたまま10月を迎えたのですが、心地良い風に誘われたのか、思いのほか元気に過ごし、立ち上がったような気がします。 10月の展示会も、たくさんのお客様に恵まれました。本当にありがとうございました。お客様に、どれだけの幸せを頂いているのか…大好きな仕事ですので、何があろうと自分の道は自分で歩きたい…と考えを新たにする事か出来たのです。 そして、お店も冬支度をしなくてはいけません。温かい優しい気持ちになって頂く事を願って整えたいと思っています。 12月はもうすぐ目の前に来ています。何だか気ぜわしくなり、気持ばかり急いでいます。 三重県半泥子・仙鶴窯「藤村州二」、長野県・せらぼ陶房「市川宗」、石川県・赤地陶房「赤地健・径」そしてうるしの器。 それぞれの先生方の作品へ込める思いが交響曲となり美しい調べを奏でて下さる事と思っています。とても楽しみにしています。 そして丹精込めた先生方の作品が、お客様の元へ渡り、ご家族の人達と共に美しく育ってくれる…そんな日々を願っているのです。 話は変わります。 数本ある桜の大木の下には、11月らしからぬ、可憐な赤い花が、びっしり咲いて、この陽だまりへ私を導いてくれたのです。 我家の冬支度は、電気ひざかけを買いました。同じようにほっこり、温めてくれる事を期待しています。 そんなたわいもない日常の中で…最近NHKBS「赤ひげ」にはまっています。山本周五郎原作…人情あふれるお話です。 若い頃から山本周五郎の本は大好きで、よく読んでいました。今とっさに思い出す…私にとって代表格は「さぶ」です。私の本棚に鎮座しています。美しき日本の心が溢れているのです。 藤岡周平と共に、このお2人の作家の“物語り”は目の奥に心の奥にくっきり映像として残るのです。今はなき美しき情景が広がっているのです。 この年令になると尚の事、無性に胸が熱くなるのです。 こんな日本の情感を次の世代に、次の次の世代に伝えたい…末来の方に受け取ってもらいたい…「いいナァ〜」それだけでいいのです。 花染のお客様も、お若い方が随分多くなりました。永年つちかって来た工芸・美術、文化がそれとなく楽しく伝わってくれる事を願って日々対峙させて頂いています。 お若い方が、今日より明日が…と信じられる…それを心より願っています。 秋の日は短く暮れやすくなりました。店からの帰り道、西に向かって自転車を走らせます。雲が茜色に染まる…すでに群青色に変わってしまっている夕暮。日によって時間によって刻々と変化する空の色。楽しみながら帰路につきます。しかし秋の暮れゆく空はちょっと哀しい…家々には明りが灯ります。 参節の変わり目に、どうぞお気を付けてお過ごし下さいませ。お風邪など召しませぬよう…。「日常つれづれ」はこれで終わります。 |
2022年(令和4年)10月7日
いつまで続くかと思った暑い日々も、ここへ来てやっと秋の佇いを見せ始め、肌で実感出来るようになりました。 思わず自転車を留め…秋の風を身にまとい、心地良い気分に包まれたのです。 この「日常つれづれ」を長年書いていると、昨年…一昨年そしてそれ以前…同じ季節でも、あまり良い方向にむかっていない事が確実に分かります。 私が生まれ育った郷里の田舎町も、自然を育くむ人は、めっきり減ってしまったように思います。 渋柿は干柿に…南向きの軒下で太陽をいっぱい浴び、甘くなるのを待っていました。冬柿は私達子どもが木に登りワイワイ騒ぎながら…とても楽しみにしていました。 後を継ぐ人の自然へのこだわりが無くなると、田舎町は明らかに荒れてゆくのですね。 先日10月1日の新聞ですが… 日本人の食生活は、あまりにも変わってしまったのです。もうそろそろ脱却しましょう。カロリーの高い食事「超おいしい…超ごちそう!」とはお別れです。 “日常の毎日は「普通においしい…でよいのです」ふつうに美味しいって安心でしょう。それは、あたり前に季節にあるもの、無理のないもの、身体を傷つけないものなのです。“と土井氏の言葉です。
その考え方大好きです。 丁寧に整理整頓された暮らしの中で、食卓を清らかな場とする。それが「おいしい…」に繋がる日常だと思っています。「一汁一菜」とはいかないまでも…ネ。 日本人が6万年…それ以前より体内に持っているDNAを…日常の暮らしの基本に置いた考え方をしたいと思っています。 秋一番…展示会をさせて頂きます。 多文化の布や道具たち
2022年10月13日(木)~10月22日(土) 10:30~17:00 日・月 休み この度の展示会は、西域工芸品といわれる…アフリカ、中近東、インド、インドネシアなど日本へ連なる道程にある文化です。 最近、とても嬉しかった事!! 個々に乗り越えた強さは、共に今では笑顔です。彼女の明るさは、2周りも3周りも大きく成長した魅力的な女性の姿でした。 夏の間、冷たいもの、口あたりの良いものを食べてしまった事を後悔しながら、体調の回復を心がけています。 店からの帰り道…めっきり秋の風情が色濃くなってゆく空の美しさに感動しながら、家路につきます。その空を見上げる私の心も日々、変化するのです。 どうぞ皆様も、夏のお疲れにお気を付けて…そしてお目にかかれればこの上もなく嬉しいです。 |
2022年(令和4年)9月7日
毎朝、東の空を眺める事から始まります。暑い暑い8月も、夜明け前の空は、感動的な美しさです。1日として同じ光景はなく…雲にはばまれ…雲を染め…少しずつ顔を出すのです。 今日も頑張ろうね…と胸をたたく…そこには、チョット凹んだ自分がいるのです。 夏の高校野球も、仙台育英高校の優勝で幕を閉じました。勝っても負けても球児達が流す涙は美しいですね。 それと対局にある8月…戦争の残酷さを学ぶ8月だと思っています。 日本は平和なのか…そうではないのか…? 戦争にまつわる「人類の悪」を…出来る限り若い頃から関心を持ち、報道、ドキュメンタリー番組を数多く拝見し、学ぶよう努力してきました。 私の夏休み…。 秋11月。古本市主催のメンバーの方々と「おさんぽ古本市」をする事になりました。本格的な開催は3年ぶりです。 話は変わって…お仕事です。 素材はタモ材、赤い部分は香椿(チャンチン)材…木材そのものが赤いのです。 仕事をひたむきにさせて頂く事は幸せな事です。仕事にむかう自分に自分が勇気をもらっているのです。 人間には、1ツの芯があるはずです。自分の中で自分を制する何かを持っていると思うのです。哲学書は読まなくても、過去の読書から知りたい…学びたい…思いは自分の中で継がってゆくのです。 私は、本と美術から、たくさんの事を学ばせて頂いたと思っています。 夏の間に心の筋力も、体の筋肉もすっかり落してしまいました。少し涼しくなったら歩こう!そしてたくさんの本を読もう…そして美しいものもいっぱい見せて頂こう! ★10月は、半年ぶりに展示会をさせて頂こうと思っています。 「多文化の布や道具たち」とのテーマで企画しています。10月中旬から後半にかけての開催となります。ガンバリます! 書きたい事はいっぱいですが…ちょっとエネルギー不足です。 私もこの「日常つれづれ」の頁に幾度となく書かせて頂きました。思いついて、読み返してみました。2020年(令和2年)9月2日の頁に、かなりしつこく書いています。今読んでみると、書くと言う力強さがにじんでいる様に思います。「日常つれづれ」を繰って見て読んで頂けますと嬉しいです。 9月10日(土)は中秋の名月。もっともお月様が美しい時期なのだそうです。 「名月をとってくれろと泣く子かな…一茶」しみじみ日本に生まれて良かったです。 魅力ある日本…魅力ある日本人…魅力ある山河…魅力ある佇い…そうありたい! 光を透して美しいウンベラータ |
2022年(令和4年)8月8日
自転車で店へ通う…住宅街に勢いよく咲く…さるすべりの赤。 その中に白い花が咲く…芙蓉の白い花、路々に咲く、名前を知らない白い小花。清涼感漂う…光景です。 蝉は、ちゃんと地中から出てふ化出来たのかなぁ〜暑すぎるしなぁ〜心なしか鳴き声も弱い気がします。気のせいかも…こちら側が暑さに疲れているのかも…。 涼しさを如何に表現したらいいのでしょう。 日々の習慣なので…それが自然の流れです。「今日も1日無事でありますように」との思いを込めて…。 早朝、水路に鴨の夫婦が…なんて島本町で出会うのがあたり前だった情景は、すっかり変わってしまっています。それも、すごい勢いで壊され…壊されて大切さを知る事になるのです。 「日常つれづれ」と 「Instagram」に…少々理由(ワケ)あって…と数度書いたものですから、皆様からご心配を頂いてしまいました。 家族の問題は、6月早々、ほぼ解決致しました…ありがたい事です。 ところが、時を同じくして、近くに開店したレストランが排出する凄まじい爆風と爆音…匂い…に悩まされ続けて来ました。1日中、それと向き合わざるを得ない事に私は、ほぼ神経衰弱状態なのです。 私が大切にしてきた裏庭に向かって来るのが耐えられず、店内の窓や戸は開けられず…。約5ヶ月…何時、解決するとも分からない中で…努力は全く前進しないのです。 言葉を選んで、この頁に書く事を決めました。被害者はどうするすべもなく、追いつめられて行くのです。 お客様や知人、友人からお声をかけてくださるたび、この頁でお話しさせて頂いてもいいのでは…と思うようになりました。細かい事は伏せておきます。 ただ、ここに簡単に書かせて頂きましたのは…私が家族の病気で苦しんでいる…と思って下さっている方々へのお知らせと感謝の気持ちからです。 相手の事を、こんな風にこの頁に書く事への迷いはあります。日々揺れ動く心と体を持て余して…それも又、苦しむのです。この理不尽な出来事に、どのように立ち向かえばいいのでしょう。 緑と風が大好き…いかに心地良くお客様に対応させて頂けるか…大好きな店を守って行きたい…今は、心より願うばかりです。 幸せな事もいっぱいありますヨ。 夏の高校野球も始まりました。ひたすら白球を追う純な姿に感動するのです。今年は3年ぶり…悲しんでいる今の私にとっては、力強い味方になってくれるでしょう。 皆さんが投稿されているインスタグラムにも癒されています。豊かな感性で美しい写真を撮っていらっしゃいます。その場の空気か伝わって来るのです。 私がインスタグラムを始めて約1年になりました。花染らしい穏やかなものにしたい…私が心地良くなくては、お客様にも失礼だと思う一心で文章も書いています。 先日、友達が「色々の事を抱えているとは思えない程文面からも優しい風が吹いている…とほめてくれました。ほめてくれる事は幾つになっても嬉しいものです。HP「日常つれづれ」「Instagram」を何時もご覧頂いて…心より感謝しています。 夏休みは。昨年より多く頂く事にしました。 9月にむけて、早く早く涼風よ…来い!! |
2022年(令和4年)7月8日
梅雨があっけなく開けてしまい…。7月に入り、蝉は早かった梅雨明けを知っているのかなぁ〜。鳴くのはまだかなぁ〜と思っていると…7月5日朝、少数の蝉が鳴き始めました。地中から這い出る時をちゃんと察知したのでしょうね。桜並木の方角から…自然は確実にやって来ました。 島本町の自然は小さく小さくなってしまっていますが、健気に生命を全うしているのです。日を追って声は大きくなり、勢いを増し、盛夏に向って命をつないでいます。 私達は、この盛夏を…厳しいこの暑さを…どのように過ごしましょう。 お昼なので…ノンアルコールビールをお気に入りのグラスで…これですっかり肌感触が整いました。 爽やかな麻ののれんが風に揺れ…冷房の風も許しましょう。まったりとした昼下り、休日はこれで決まりです。 道端に咲く小さな花を摘み…蝉の脱け殻を拾って来ましたヨ。これで完壁ですね。 夏には、まだまだ大切なものが… デパートは祇園祭商戦の真っただ中でした。京都の夏は、こうでなくては寂しくもあり…火が消えてしまうのです。 次の世代に技術を伝えて行く為にも、もうこれ以上休む事は出来ない…とおっしゃっていたのが、とても印象的でした。 祇園祭の「ちまき」は必ず買いに行っています。以前は長刀鉾でないと…と思っていたのですが、最近は他の鉾のものを順次選んで楽しんでいます。それぞれ工夫があり特徴があって、それも良いものです。 花染と我家の玄開に掛け「どうぞ無事で…」と祈るのですが…。 辛い事ばかりを見ていると楽しい事も嬉しい事も見えなくなってしまいますものねえ〜。 最近、稀にみるヒットが我家にあるのですヨ。お掃除ロボットを買いました。何を基準に選ぶのか悩みましたが、パナソニックの小型にしました。とても良く働いてくれています。私が疲れていても、気力を無くしていても…気持ち良く元気に活躍してくれているのが嬉しいですネ。 「そっちじゃないヨ!そこが好きやネェ〜…コッチコッチ!!」お話をしています。とても役に立つ相棒のようです。 もう1ツ好きなもの…NHK「映像の世紀」 7月4日はRBGアメリカ連邦最高裁判事ルース・ベイダー・ギンズバーグ…女性判事…女性たち百年のリレーを放映していました。 アメリカの宝と言われていましたが、残念にも2020年9月18日、87歳で亡くなってしまったのです。女性の参政権を求め、自由と平等を求め、彼女に到るまでの100年の女性の戦いが、この番組に込められていたのです。 希望の種を受け取り育てゆくには、まだまだ、とてつもなく膨大な年月が必要なのだと痛感したのです。 日本に、それが育つ土壌が、はたしてあるのでしょうか。 コロナの終着駅が見つからないけれど、花染は何だか「イイナァ〜」と思って頂ける様…そして素敵な出会いがある…自分を大切にしよう…と思って頂ける…そんな店を目指したいです。 焼けつくような太陽の光ですが、時折スーッと風が吹く…。緑の風が…田舎町の風が…。どうぞお出かけ下さいませ。心よりお待ち申し上げております。 【夏休みの予定】 8/12(金)~8/17(水) |
2022年(令和4年)6月6日 緑陰を渡る風。太陽と水と風を味方に清々しい初夏です。 そして夏の暮らしが始まります。のれんを掛け、扇風機を用意し、冷房の備えを致します。 器も、少しずつ暑い夏…仕様に変えていきます。そばちょこも〔陶器・磁器・ガラス〕と思いを巡らせると、毎日の暮らしに変化が生まれワクワクして来ますヨネ。 5月21日(土)コロナ禍以後、久しぶりに「しまもと古本散歩」を開催しました。 その後、嬉しい事に藍で染めた小さなスカーフを下さったのです。主催者の中のお1人か染め物をなさっていて、ご自身で染めたのだそうです。 新刊も5月に色々買いましたヨ。本を読んでいると一瞬、私はその世界に没頭するのです。 5月の「日常つれづれ」をお読み下さった親しいお客様が、素敵な本を贈って下さったのです。その方のお友達のお嬢さんがお書きになった「傘のさし方がわからない」岸田奈美著…とても優しい…心和む1冊でした。 梅雨も近いですね。柴陽花の便りが、そこかしこから届きます。花染もたくさんの紫陽花をお客様から頂きました。店内に生けると、小さな店が、とても風情ある空間になりました。 Instagramの中にも、皆さんが投稿する紫陽花で溢れています。日本人は紫陽花がお好きなのだと…とても嬉しく拝見させて頂いています。本当にお上手に写真を撮られていますヨ。 日本の美しい四季にも、とでも敏感に反応していらっしやいます。Instagramの中は、名カメラマン揃いなのです。 この美しき自然を守りながら、私達の暮らしが存在出来れば…と切に願うのです。 島本町は、どんどん開発の大波が押し寄せて来ていますが、それでも少しだけ街なかに残っている田畑へ水を引く為の水路は、清らかな水をたたえ流れています。水辺に生息する昆虫や小鳥や…生きとし生けるものにとっては、こんな小さな自然でも、とても大切なのですね。 人間という生命体も、こういう世界を感じないでは生きて行く事は出来ないと思うのですが…。容赦なく破壊されてゆく…この光景が、今の島本町の現状なのです。 この大切な小さな街で40年余り生活をしていますが、とても愛しいと思ってます。 そんな愛しい小さな街で、何時もお客様に助けて頂きながら、仕事をさせて頂いて来ました。お年を召されても、人生のコツを上手につかみ、お元気に心丈夫にお過ごしの人生の先輩に、あらためて感動するのです。 小さな裏庭の紗羅の木に、そろそろ白い小さな花が咲く頃です。 日々の情報は「工芸花染インスタグラム」で発信させて頂きます。たくさんのお客様にご覧頂いているインスタグラムです。作家が作品へ込める思いが、より美しく表現出来ます様、頑張ります。ご覧下さている方に心より感謝申し上げます。 今月の「日常つれづれ」も短く終わらせて頂きます。皆様のご厚情に深く深くお礼申し上げます。
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2022年(令和4年)5月11日
天候に恵まれた5月の連休でしたね。メディアが報じる 日本列島は楽しそうに、アクティブにお出かけする人々を写し出していました。 私は事情があって4月は半月程、店を休ませて頂きました。苦しさにもがく日々ではありましたが…それが人間が生きているという事なのでしょうか。そして小さな幸せを見付けたい…と願う日々を過ごしました。 家族が健康である事を、誰しもが願うのだと思うのですが、なかなか上手くいかなくて… でも4月は、島本町の美味しい竹の子にも幸せを頂きました。たくさんの春野菜にも恵まれました。 心地良く吹く風…緑の若葉は、日々色を濃くしています。その中で、すっかり成長したうぐいすが上手く鳴く…。そんな自然の力を借りたいものです。 静かに座わって一服のお茶を…甘い物を頂きましょう。甘い物は、ひととき幸せを運んでくれる様な気がします。 そして何よりお客様が待っていてくれる…いつも信じて支えて下さるのが嬉しいです。見たり聞いたり感じた事、すべてを言葉に出来ない事がもどかしいけれど、とてもとても感謝をしています。 現在は普段どおり、店は営業致しております。 日々の情報はInstagramで発信させて頂きます。 時々散歩をする路々の自然は、すでに変化しています。田植えの為の準備が始まりました。まもなく水が張られ、美しい光景が広がるようになります。自然は順調に前をむいています。 |
2022年(令和4年)4月3日
日本の春…桜の花が満開です。青い空と桜の色は、とてもよく似合います。そして私達を晴れやかにしてくれますね。 待つ日々も…咲いても嬉しい…そしてハラハラと風に舞い花びらが、地面や川面を染める…そんな美しい日々を、ここにしばらく楽しみたいですね。 桜の花は、自分の歴史の数だけ色があります。小学校の校庭に咲いていた…単純に楽しかった日々。 日本人が桜へ託す思いは格別の意味があります。 先月「村松学・河井達之2人展」へお出かけ下さいまして本当にありがとうございました。今だ消えぬ不穏な中、様子を見ながらの展示会でしたが、滞りなく終える事が出来ました事、心より感謝申し上げます。 この所、公私ともに忙しい日々の連続でしたので、ちょっと気を抜くと集中力が切れ、疲れた体と心を持て余していました。 ふらりと…出かけたいナァ〜と…。 静寂なる空気…まれに人に出会うくらいで山里の路を風の音とうぐいすが懸命に鳴き、迎えてくれるのです。 曼殊院は、観光地とは一線を画す存在であり名刹だと思うのです。 ひなびた佇いではありますが、狩野永徳筆の虎の間の襖(桃山時代)。滝の間・富士の間・黄昏の間の襖は狩野探幽筆。オリジナルそのものを拝見出来るのも、人里離れ、人の訪れも少い曼殊院ならではです。 穏やかなる光と身も引き締まる…冷たい風は私達に、ほど良い緊張をもたらせてくれるのです。 山里の小路をアップダウンをくり返し、ゆっくり30分…詩仙堂へ…。ここは観光シーズンには、人で溢れる人気のスポットなのです。 時の流れが止まった様な…春の準備の途上ある空気感に包まれ、それだけに何にも変えがたい時間が存在していたのです。シシおどしの音が響く中、清められたお庭を歩かせて下さったのは、とても幸せな時間でした。 久しぶりに出会った落ち着いた時間を与えてくれた曼珠院と詩仙堂でした。 これからの季節、この辺りはすっかり様相を変えてゆく事でしょう!! 日本の美意識の高さに…日本に暮らして本当に良かったと心から思えるのです。 私共の裏庭にも小さいながらも季節が移ろいます。石臼を丹念に洗い新しい水草を入れ、清らかになった水の中で、元気に泳ぐ14匹のメダカ達…。 日々変化する自然の営みに、太陽や風に感謝するのです。 食材も春は芽吹く力を私達に与えてくれます。ふきのとう、菜花、タラの芽。島本町から京都西山へかけての竹の子は、絶品なのです。美味しいものを頂くのは幸せを運んで来てくれそうで嬉しいですね。 私共の店内も、たくさんの作品で充実しています。大切な大切な作家さんや作品に感謝しています。 観光案内のような「日常つれづれ」で今回は終わらせて頂きます。 |
2022年(令和4年)3月4日 朝起きると、明るい空か広がり…朝日がオレンジ色を増し、溢れんばかりに輝いているのです。すべてを忘れて元気になります。自然も動き始めました。店の小さな裏庭にも、やっと二葉葵の芽が姿を見せ始め…例年より遅いながらも、ほととぎすも愛らしい緑色の若葉を出ました。 本格的な春が来た事を教えてくれるのです。 地球上は不穏な空気でおおわれていますが、自然は豊かな恵みを惜しみなく与えてくれているのですね。 3月は特別な月なのです。3月1日…私共の39周年記念日でした。毎年、よくぞここまで…と来し方を思わず振り返ります。山あり谷あり…尋常では過ごせなかった年月に思いを馳せるのです。 4年前、35周年をお客様とにぎやかに過ごした事が思い出されます。柴田先生とご家族…。そしてハープ奏者の水川亜紀さんが優しい音色を奏でて下さる中での酒宴は、より楽しさを盛り上げてくれたのです。 「次の40周年まで私の体力が持つかナァ〜。花染は続くかナァ〜!!」「出来る!出来る!」と皆様に力強い言葉を頂いた事が昨日のようです。アっと言う間でした。 すでに40年目に突入です。「一生懸命は奥が深い!!」と我身に念じつつ…思いを込めて前を向きます。 花染のインスタグラムも、直接参加はしていなくても、たくさんのお客様が見て下さっています。そしてお声をかけて下さるのです。嬉しくもあり…ちょっと面映ゆくもあり…と言ったところです。本当に有り難うございます。 最近 BS・NHKで放映した宮尾登美子の『蔵』を3部一挙・3〜4時間、腰をすえて見入ってしまいました。 「雪がシンシンと降る音が聞こえる…!」聞こえるのです。私が尊敬する作家の力量です。 久しぶりに本棚から『蔵』上下を出し…手の中へ。私にとって大切なものなので、驚く程綺麗な状態であった事が、嬉しかったのです。 本の装丁・帯はすべてを物語ります。それも、全く損傷する事なく…。私を釘付けにしてしまいました。本の姿、そのものも美しいのです。装丁の力です。 本の出版は1993年9月…28年前です。毎日新聞連載は「1992年3月〜1993年4月まで」宮尾登美子が連載中「こんなことは初めて」と語るように、驚く程の反響があったのです。オーバーではなく、それは社会現象のようでもありました。 その後まもなく、さし絵を含む智内兄助の作品展が開催され、熱い思を抱え見に行った若き日が鮮明によみ返ります。 尚、帯には『生きる勇気』とあります。生きる事は軽くはないのです。ファッション的でもなく…。今、生きにくさを抱えている若い女性こそ読んで欲しい宮尾文学なのです。 この「おこもり生活」を少しでも元気に過ごしたい…本や新聞など活字が友達です。 おこもり生活の中で与えられるものも沢山ありますが、自分でつかみ取ったものでないと、時間が経過するほどに記憶が薄れてしまうのです。 先日2月27日、終盤近くなってしまった『岸田劉生と森林・松方コレクション』を岡崎・京都国立近代美術館で拝見して来ました。 劉生の初期から晩年までの画風の流れを見る事が出来たのです。 関東大震災を機に京都に転居し、南禅寺あたりに居をかまえ、2年半を過ごした時期があった事も、初めて知りました。 ゴッホに影響を受け、白樺派の人々と交わり…私の好きな方々の名が…彼の一連の流れの中に登場するのです。高村光太郎が、志賀直哉が…バーナートリーチが…かかわり合った良き時代が見えて来るのです。 彼の最大の支援者だった芝川照吉。その時代の画家達とのあつれき…等々、劉生が生きた時代に思いを深くするのです。 明治に生まれ〜大正〜昭和初期を、美の深求を深くしながら生きた38年の短い創作活動であった事が、いかにも惜しまれます。 そして、森村・松方コレクションの中の青木繁『女の顔』が妙に印象深く胸裏に鮮烈に残ってしまった事を書き留めたいと思います。 そして。私の中にあるもう一点。大原美術館が持っている、林武『梳る女』に思いを至してしまったのです。中学生の頃から、その色彩と女性の姿が、ずっとずっと胸の内に残っているのです。 女性を描く、絵画のモデルは、ほとんどの場合、男性目線なのが、いつも気になります。はんなりとした優しい女性像が多いい気がしてなりません。 ここに挙げた2点の作品は、それ程大きな作品ではありませんが、しっかりとした強い意志を持っている…その表情に私は強く惹かれるのです。 コロナ禍の中、あきらめざるを得ない事も沢山ありますね! そんな思いと平行して、私共も展示会を致します。 春の光とともに…
村松学・河井達之2人展 2022年3月15日(火)~3月26日(土) 10:30~17:00 20日(日)21日(月)休みやっと明るい光が…そして春が来ました。日々がめまぐるしく変化しています。 そんな中で、お2人に若々しい展示会をして頂きます。 村松学さんは舩木先生のお弟子さん。河井達之さんは河井久先生のご次男です。次の世代がやって来ています。そして作品も、それぞれの形が出来上がりました。 日常の作品が揃います。日常という事が、如何に大切か…。大きく動く時代の中で、その素晴しさを実感出来る作品展にしたい。と思っています。 是非お出かけ下さいませ。心よりお待ち申し上げております。 これから、うぐいすも幼いヨチヨチ歩きで鳴き始めます。 |
2022年(令和4年)2月3日
またたく間に過ぎて行った1月。異状とも言える、この地球の危うさを、どうする事も出来ず、1日が暮れゆきます。そして再び明日が来るのです。 今日は2月3日節分です。豆まきを毎年、滞りなくやるのですが、たくさんの豆を食べ、年の数だけ…なんて…だれが決めたのでしょうね…と、これも毎年同じ会話を致します。
「春よ来い!!早く来い!!」お外へ出られない日常に心が痛いです。 そんな日々の中にあっても、長年書き綴った「日常つれづれ」への思いは深いのです。 自宅では、生活が見えて来るし、あれもこれも気になり、気が散ってしまい集中できないからです。 私共の店のカウンターは巨大です。タモ材・長き235cm・厚さ60cm・一枚板… 物書きの机にも、お客様の接客にも、そして、もろもろ全ての仕事をも容認してくれる包容力があるのです。 奥との境には、芹沢銈介の若い頃・オリジナルの暖簾が…状況は整っています。 数百年の広葉樹のカウンターの年輪は、私に生命を伝えてくれるのでしょうね。このカウンターの力強さは、無意識に私の支えになっているのです。 最近は、軽いもの…一枚板で作らせて頂くとしても、優しく軽く作る事を求められる事があります。 最近作らせて頂いた中から2点…写真を上げたいと思います。 小ぶりではありますか、しっかり日本の伝統に乗っ取った仕事を丹念にお作りさせて頂きました。木工作家・細江義弘氏の手によるものです。 今年の最初の家具の仕事になるだろうものは、大きなリビングの大きなテしビ台になると思います。 お客様のご希望や生活形態を聞き取りながら入念に打ち合わせ。とても大切な作業です。 そして、私自身がー番励まされる事…それはお客様が素敵に生活の中でお使い頂いている事。 私も超アナログ人間だけれど、花染の仕事は全て超アナログ…お家で過ごす時間は、とても大切だと思います。今は不自由な慕らしですが、こんな事を考えながら丁寧に過ごそうと努力する日々なのです。 お正月からの残りのお餅を、小豆を煮て、おぜんざいにしよう…! 甘い美味しいものへの愛は止まる事はありません。 大根の頂いたものを又、又、干し大根にして…これは我家の冬の風物詩。 2月の展示会はお休みです。 節分が終わればおひな様。やっと春が来る…!! 何よりも太陽が暖かい日の光を与えてくれる様になります。 そうそう2月はバレンタインデーもありますね。どんなチョコレートにしょうかナァ〜。 お目にかかれる日を楽しみにしています。くれぐれもお気を付けて下さいませ。 |
2022年(令和4年)1月10日
美しく輝く初日出。新しい年を迎える、この地球が、そして私達の暮らしが無事であって欲しいと、思わず太陽に手を合せます。 年を重ねる程に、今がこうしてある事に感謝の思いがい深くなります。 そして温かいお雑煮。ふる里の父母との暮らしが蘇えり、ちょっと切なさも…。私の中に、お正月の暮らしの中に生きている母の面影を大切にしなければ…と新年に思いを込めたいと思います。 私の初詣は、今年は奈良・春日大社と奈良国立博物館と決め、2日、早朝に出かけました。昨年から決めていたのです。 藤田美術館 所蔵・竹内栖鳳筆「大獅子図」奈良国立博物館に展示されているのです。 大阪・都島・藤田美術館は藤田博三郎(1841~1912)の蒐集に始まるコレクションです。 明治に入り、廃仏毀釈の嵐か吹き荒れる、その時代にあって、壊されたり、安価で売買されたり、海外に流出する日本文化を、力の限り手元に求め集められたのです。その数は日本最大とも言われています。 どうして明治は、日本文化を軽視する様な事がおきたのか…。その事も含めての奈良国立博物館だったのです。私は全くの素人なので、こう言う事に出会うと美術史を学びたい衝動にかられるのです。 4~5年前から、長期にわたり藤田美術館はリニューアル中。 竹内栖鳳の「大獅子図」はこの度で2度目の拝見となりますが、その姿に言葉を失うのです。 ずっとずっと昔、京都美術館(現・京都市京セラ美術館)で栖鳳と上村松園の師弟展が催された折、初めてこの「大獅子図」を見て驚き…虜になってしまったのです。 その折、やはり見たい見たいと願っていた上村松園「序の舞」にも出会わせてもらいました。 そして、宮尾富美子の小説「序の舞」がよみがえるのです。もし興味をお持ち頂ければ読んで欲しいと思うのです。 京都嵯峨野にあった竹内栖鳳美術館へも、奈良の松柏美術館へも…とにかく開催される展覧会は、ことごとく出かけ…のめり込んだ日々がありました。 そして又、今回の奈良国立博物館で思わぬ事にも出会わせて頂いたのです。 南北朝時代(1339)吉野郡吉野町に位置する金峯山寺(きんぶせんじ)の仁玉門(国宝)に安置される…と…。 そんなこんなで時間は過ぎ、午後になり、春日大社へお参りに行った頃には、人波で溢れていました。写真を撮るのも一苦労。良い映像にはなりませんでした。 またまた、仕切り直して出かけたいものです。ここから続く万葉植物園へも行きたいし…新緑の頃にしましょうかねぇ~。 そうこうしている内に七草がゆの日も過ぎ、本格的に始動です! 今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。お目にかかれれば嬉しいです。風邪は万病のもとです。くれぐれもお気をつけてお過し下さいませ。 |